売れない億り人
資産家となった佐藤さんですが、退職後に大きな悩みに直面します。それが「税金」の壁です。
現在、日本において暗号資産の利益は「雑所得」扱いとなり、多額の利益を確定させると住民税を含めて最大約55%が税金として差し引かれます。1億円分の利益を確定させても、半分以上が持っていかれる――。佐藤さんは資産があるのに自由に使えない“売れない億り人”になっていたのです。
しかし、この状況には変化の兆しがあります。2025年7月に業界団体から「税率20%の申告分離課税」への改正要望が提出され、令和8年(2026年)の税制改正大綱でもその方向性が示されました。この改正が実現すれば、佐藤さんのような長期保有者にとって、資産を現金化しやすい環境が整うことになります。
ビットコインと税制、そして老後資産の考え方
これまで佐藤さんを悩ませてきた最大55%という税率は、2026年以降の税制改正によって、株式と同様の「20%」へ引き下げられる可能性が高まっています。これが実現すれば、利益確定時の手残りは数千万円単位で変わるため、まさに「待った甲斐があった」といえる状況になるでしょう。
こうした背景には、ビットコインが、ブロックチェーン技術の発達、ビットコイン決済の普及、ETFの承認などを通じ、暗号資産としての地位を確立してきたことにあります。この10年で、ビットコインは驚異的な値上がりをみせました。暗号通貨の可能性については今後も注目していきたいところです。
ただし、価格変動は非常に大きく、老後資金等を目的とした「守りの資産」としてはまだまだハイリスクな状態ですので、「攻めの資産」として価格の変動幅を十分に考慮しながら「守りの資産」に付加する位置づけで保有しておく程度がよいでしょう。
