◆女優がVシネに出演する理由

「もともと演技が好き」「挑戦したい仕事の一つだった」などの理由はあれど、やはり出演することが演者としてのステータスとなる。
正直なところ、ビデオ出演だけをしていても女優としての箔はつけられるだろう。しかし、その先を見据えているとか、活動の幅を広げたいのなら「本業」以外の出演歴が重要となってくるのだ。
たとえ演技上手とは言えなくても、何度もVシネに挑戦した経歴を聞けば企業側は「セリフを覚え、長時間の現場に対応できる根性マン」「ギャラだけでオファーの選別をしない人(=対応可能な仕事が多い)」といった印象を受けるだろう。
やはりどんな世界でも、柔軟な人は注目されやすいのだ。
◆ビデオ撮影の方が稼げるが…
なお、Vシネ撮影で3日間拘束されるなら、ビデオ撮影で1日稼働した方が絶対に稼げる。でもそのリスクを取ってまでも挑戦する姿勢というのが何よりも大切で、投資した時間や苦労が後になってから返ってくるものだ。ただ、あくまでこれは何度も頑張った人のみ。残念ながら1回2回程度の出演かつ、どちらも相当なチョイ役なら箔がつく以前の問題だと強く主張しておきたい。
Vシネの文化そのものは縮小傾向にあっても、演者にとっては大事な仕事の一つであり、熱狂的なファンにはなくなってほしくない「文化」である。
どんなに規模が小さくとも、時代を支えた文化が衰退するのは少しばかり寂しく思う。成人向け映画同様、撮影そのものは大変でもどこかで盛り返してほしい……と、勝手に願う自分がいる。
文/たかなし亜妖
―[元セクシー女優のよもやま話]―
【たかなし亜妖】
元セクシー女優のフリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ソーシャルゲームのシナリオライターを経て、フリーランスへと独立。WEBコラムから作品レビュー、同人作品やセクシービデオの脚本などあらゆる方面で活躍中。

