男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
—あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:2回のデートで終わったはずの関係が“復活”。商社マンが27歳女性の良さを再認識したワケ
「今までありがとう。でも、もう限界なの。別れよう、私たち」
3年も交際した奈津美が、怒っている。いや、怒っているというよりも、泣きはらして疲れ切っている、という感じだ。
「え、なに?どうしたの?ごめんって、奈津美。機嫌直してよ」
そう言いながら、奈津美の肩に手を触れようとした僕。しかしその手を、バシッと叩いてはねのかれてしまった。
「そういうの…もういいから」
「… 本気で言ってる?」
この3年、僕たちは何度もケンカして、別れて、付き合って…を繰り返してきた。でもいつかは奈津美と一緒になると思っていたし、むしろ、奈津美以外は考えられない。
「ちょっと待って。一度冷静になって考えよう」
「ううん。もういいの。涼、別れよう」
そして奈津美は、本当にこの日以降、僕のところへ戻ってこなかった。
年末のこの時期の別れは、身に沁みる。どうして僕たちは、こんな悲しい結末を迎えることになったのだろうか…。
Q1:女が交際中から溜まっていた不満は?
奈津美と出会ったのは、友人の紹介だった。最初からすごく気が合い、なんとなく「彼女と、ずっといることになるんだろうな」と感じた。
その直感は当たっていて、気がつけば彼氏と彼女になっていた僕たち。
奈津美は気性が荒く、言いたいことをハッキリ言う性格だ。その性格のせいで何度もぶつかってきたけれど、毎回仲直りしてきた。
でも毎回、本当にしょうもないことでケンカが勃発する。トイレの電気をつけっぱなしにしているとか、僕の帰りが遅いとか…。
普段はそこまで束縛は激しくないのに、たまに何が気に障るのか、急に口うるさくなる。
この日は、僕が深夜2時過ぎに酔っ払って帰宅したのが許せなかったらしい。
「ねぇ涼。帰りが夜中12時過ぎるときは、連絡してって言ったよね?」
しかも翌日言われても、どうしようもない。
「酔っ払っていたら、連絡なんてできないよ」
「酔う前に、『今日は12時過ぎるかも』とか言えるでしょ?」
「どれだけ盛り上がるかなんて、その時にならないとわかんないじゃん」
「別に、『毎日連絡しろ』とは言ってないでしょ?なんでこんな事すらできないの?」
僕には、奈津美が怒る理由がわからなかった。
僕たちは、交際してすぐに僕の家に奈津美が転がり込む形で同棲を開始した。
だから、奈津美が僕の帰宅時間に対してとやかく言う権利は基本的にないと思っている。
「奈津美が勝手に、この家に転がり込んできたんだし。嫌なら出ていけば?」
「はぁ?まじで最低」
こんなケンカを、何度繰り返しただろう。
奈津美は怒ると誰にも止められない。でもいつも、友人の家やホテルなどを一人で泊まり歩いて、数日経って帰ってくる。
「奈津美、ごめんね。機嫌直った?」
「うん。私もごめん」
こうして、毎回丸く収まっていた。
そして交際して3年にもなると、ケンカはだいぶ減ってくる。だからお互いに上手くやっていると思っていた。
「涼、私来年で36歳になるんだけど」
「そっか、もう奈津美も36歳か」
奈津美は見た目が若いからすっかり忘れかけるけれど、もうそんな歳なのか…と改めてびっくりする。
「奈津美って若いよね」
「まぁ…涼が若いからね」
僕は今年30歳で、実は奈津美より5つ年下だ。
「涼は、子どもとか欲しくないの?」
「欲しいよ。でもまだ先かな」
「私の年齢のこと、考えてる?」
「もちろんだよ。だからあと3年後くらい?」
「それじゃ遅いよ…」
奈津美はそう言うけれど、僕の知り合いの人たちは40を過ぎても産んでいる女性もたくさんいる。
「大丈夫でしょ」
「大丈夫か大丈夫じゃないか、と聞かれると大丈夫かもしれないけど…」
結婚も、ちゃんと考えている。そのことは伝えているし、奈津美を不安にはさせていない。
しかし、そんなことを忘れるくらいの忙しい季節が、今年もまたこの季節が来てしまった。“大・忘年会シーズン”が…。
Q2:忘年会で、毎晩帰宅が遅くなるのが許せなかった?
毎年、この季節になると若干憂うつになる。昔より減ったとはいえ、年末年始は忘年会に新年会…とイベントが続くからだ。
しかもそこにクリスマスも加わるため、一応奈津美のケアもしなくてはならない。
「今年も忙しそうだな…せめてクリスマスは11月とかにしてくれたらいいのに」
スマホに入っているカレンダーを見ながら、僕は思わずため息をつく。すると、隣にいた奈津美がひょこっと、画面を覗いてきた。
「今年も、飲みが続くの?遅い?」
「うん、遅くなると思う」
「多少断って、早く帰ってくればいいのに…」
「それができたらいいけどさ…僕が断ることができない性格なのは、奈津美が一番知ってるでしょ?」
「そうだね」
加えて、僕は飲むことが好きだった。お酒も好きだけれど、“誰かと一緒に飲む”空間が純粋に好きだ。
だから「忘年会で忙しい」なんて言っているけれど、嬉しい悲鳴でもある。
しかし、奈津美からすると違うらしい。
想像通り、師走らしい忙しさに追われた12月。
連日の飲み会に、ちょうど仕事もプロジェクトが入り、忙しくしていた。
「奈津美、ごめんね。あんまり構ってあげられなくて」
「それはいいよ。ところで、涼。年始はどうする?」
「あー…どうしようかな」
「私の家で、おせち食べる?」
実は前から、調布にある奈津美の実家にお正月に呼ばれていた。
でもまだ挨拶へ行くのは早い気がする。何よりもまだ結婚も婚約もしていないよくわからない娘の彼氏が、急に元旦におせちだけを食べに行くのは、奈津美の両親に失礼な気がする。
「いや、でもやっぱりいいや。迷惑だと思うし」
「迷惑ってことはないと思うけど。私は帰るし、おせちは誰が来ても来なくても作るみたいだし」
「奈津美は行くんでしょ?せっかくだから、実家でゆっくりしてきなよ」
「涼はどうするの?」
「うーん。一旦、実家に顔出そうかな」
僕の実家も都内にあるから、結構な頻度で行っている。だからわざわざお正月に会う必要性は低いけれど、親孝行も兼ねて、一応顔を出しておこうと思う。
「私も一緒に行こうか?ご挨拶もしたいし」
「いや、いいよ。奈津美は自分の実家で楽しんできて」
こんな会話をしたのが、最後だったかもしれない。
ここから、最終週は連日忘年会が入り、24時以降の帰宅が続いてしまった僕。すると12月最後の金曜日、ドアを開けると奈津美が泣いていた。
「え?どうしたの?」
「ごめん。もう限界」
「え?そんな夜遅いのが嫌だった?ごめんって」
「もういい」
結局ここから、奈津美の心が僕に戻ってくることはなかった。
どうして、こうなってしまったのか。そもそも、僕はどんなに夜遅くても、ちゃんと帰宅している。浮気だってしていない。
どうして最終的に、愛想を尽かされたのだろうか…?
▶前回:2回のデートで終わったはずの関係が“復活”。商社マンが27歳女性の良さを再認識したワケ
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
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女が別れを決めた理由は?

