◆ここにしかない見どころが多すぎる
植物がはびこる大仏殿。意味のない飾り付けも大量 熱帯植物園の巨大な温室は、「大仏殿」ゾーンとして活用されている。植物園時代の草木が繁殖してジャングルのようになった室内には、高さ10mの巨大聖徳太子像がそびえている。そのままだと天井を突き破るため上の方を少し削っているらしい。密林にはモアイ、スフィンクス、オルメカ巨石人頭像、ハニワ像などもいて雑多な古代文明風。もちろんここにもマネキンは随所で来訪を待っている。
高台の拡張されたエリアでは、「ストリップ劇場記念館」が秀逸。閉業した劇場のネオン看板や特大プレート、小屋の中にはリアルなミニ舞台(ストリッパー風に自撮りできる)や入場切符自販機まで置かれていて貴重だ。壁には当時の張り紙もあれば、新たにまとめたストリップの解説も充実していた。秘宝館のマスコット、ニコニコ顔の秘宝おじさんが草むらに無数に生えている「おじさんの森」は見ているだけでハッピーになる。大量の人形が並ぶ「おばあちゃんの部屋」、起き上がり人形ばかり集めた「赤ちゃん人形館」も数に圧倒される。
◆「ドキュメント72時間」がきっかけで観光スポットに
昭和のセットが並ぶゾーン。学生運動のセットでは火炎瓶が並ぶ オーナーの鵜野義嗣氏は青いウイッグにセーラー服姿のセーラちゃんとしてお客さんに大人気だが、元は長年データハウスという出版社の社長で、アンダーカルチャーな本を多数発行してきた。よくあるレトロ博物館や資料館ではありえない性風俗や学生運動(火炎瓶やアジトの再現もある)から、ふつうなら使用済みとして廃棄される生活用品まで、ありとあらゆるものを人間の生きた記録として展示しているのも、そんなバックグラウンドがあるからなのかもしれない。
昔、鵜野氏が運営していた旧ペンギン博物館のオブジェも健在 こんな怪しげな展示施設が、2022年にはNHKの番組「ドキュメント72時間 ゆめまぼろしのテーマパークへようこそ」でも取り上げられ、全国からお客さんが訪れる伊豆の有名観光スポットとなった。だが、驚異的な展示品の数に比してスタッフはごくわずか。
各展示施設の清掃・メンテナンスは必要最低限なこともできていない。エアコンもなく、ところどころ雨漏りもし、あちこちで廃墟感が漂っている(それも魅力的と感じる人がいるのも事実だが)。現実にある場所なのか夢の中にいるのか虚実皮膜で、まさに「まぼろし博覧会」なのである。
<TEXT/関口勇>
【関口勇】
『ワンダーJAPON』編集長(フリーランス・発行元はスタンダーズ)。廃墟、B級スポット、巨大構造物、赤線跡などフツーじゃない場所ばかり紹介。武蔵野美術大学非常勤講師。X(旧Twitter):@isamu_WJ