今週のテーマは「交際3年で、突然彼女から別れを突きつけられた理由は?」という質問。さて、その答えとは?
▶【Q】はこちら: 忘年会続きで毎晩0時過ぎ帰宅の彼氏。うんざりした彼女が決断したコトとは
今日も、涼は帰ってこない。
時計を見ると、もう24時半だ。きっと今日も、遅いのだろう。
ため息をつきながら、お風呂で温まったはずなのに、すっかり冷めてしまった身体を布団の中で縮こめる。
でもどうしても眠れない。
仕方なくモコモコの靴下を履き、リビングの暖房をつけて、特に見たくもないテレビをつけてみる。テレビからは、街頭インタビューをされている女性の声が流れてくる。
「今年一番のニュースは、5年付き合った彼氏と別れて〜。でも、超絶サッパリスッキリ、2025年最高の断捨離です〜」
普段だったら、気にも留めないそんなインタビュー。でもなぜか、私は本当に不意に、涙が出てきた。
もう、涼のことはこれ以上待てないし自分の気持ちが限界なことに、以前から気がついていた。
でも自分の気持ちに蓋をして、涼との関係にすがり、別れを引き延ばし続けていた。
でも、きっともう無理だろう。
これ以上一緒にいるのは、お互いにとって良くない。そう思い、私は午前2時になってようやく帰宅した涼に、こう告げた。
「今までありがとう。でも、もう限界なの。別れよう、私たち」
涼とは、友人の紹介で出会った。32歳の私に対して涼は27歳、5歳も年下の彼に興味はなかった。
でもとても気が合ったし、会っていくうちに強く惹かれていき、気がついたら交際に発展していた。
そして、交際してすぐに、私が涼の家へ転がり込む形で一緒に住むことになった。
ただ、彼が若いからなのか、性格なのか…、涼は飲むとかなり深酒になり連絡が途絶えることが多かった。
お酒の量が多いのは心配だし、24時を過ぎても、何も連絡がないと「どこかで倒れてないかな」とか心配になる。
だから私が「連絡してほしい」と言うのは、当たり前のことだと思っている。ただ、涼も涼で、連絡をしないことを謝らないし反省もしない。
「ねぇ涼。帰りが夜中12時過ぎるときは、連絡してって言ったよね?」
「酔っ払っていたら、連絡なんてできないよ」
「酔う前に、『今日は12時過ぎるかも』とか言えるでしょ?」
「どれだけ盛り上がるかなんて、その時にならないとわかんないじゃん」
「別に、『毎日連絡しろ』とは言ってないでしょ?なんでこんな事すらできないの?」
お互いに、ケンカになったら一歩も引かない。些細なケンカを繰り返しては別れ、仲直りしてまた戻る…ということを、私たちは何度繰り返しただろうか。
結局、どちらかが謝って元さやに戻る。でも、さすがに交際3年目に入る頃にはケンカは減ってきていた。
しかし、私には別の不満が生まれ始めていた。
一応、将来のことを考えてくれてはいる涼だが、その時間軸が私とはだいぶズレている。
「涼、私来年で36歳になるんだけど」
「そっか、もう奈津美も36歳か」
「奈津美って若いよね」
「まぁ…涼が若いからね」
年齢差は、一生縮まらない。それに、私もそれを承知で、こうして涼と交際している。でも女性には女性特有の焦りがある。
「涼は、子どもとか欲しくないの?」
「欲しいよ。でもまだ先かな」
「私の年齢のこと、考えてる?」
今は医学の発達もあり、子どもを産める年齢は高くなってきているのかもしれない。でも「できれば早めに…」と思うのは、私のエゴなのだろうか。
「もちろんだよ。だからあと3年後くらい?」
「それじゃ遅いよ…」
「大丈夫でしょ」
「大丈夫か大丈夫じゃないか、と聞かれると大丈夫かもしれないけど…」
こればかりは、涼に対して私が一方的に圧をかけられる話ではない気がした。
なぜなら、勝手に歳を取っているのは私の方だし、今年で30歳になった涼に、「子作りを急がないと!!」とプレッシャーをかけるのは何か違う。
彼は今からまだまだ未来があるけれど、私はリアルなタイムリミットが迫ってきている。
でも、子作りは二人でするものだ。
しかも私の年齢を振りかざしたり、「もう歳だから」とかを実際に言葉にすると、「おばさんだから」とか「年上って面倒だ」と思われるだろう。
― 大事なことだからちゃんと話し合わないとだけど…。でも、そもそも私って子どもが“絶対に”欲しいのかな?
自分でも、その答えが出ていない。だからこの悩みは、別に涼だけのせいではない。
結局このことに関しては何の答えも出ないまま、刻々と過ぎていく時間に対し、一人で悶々とする日々が続いた。
そしてあっというまに12月になった。毎年、忘年会などで忙しそうな涼。今年も忙しいのか、スマホのスケジュールを見ながらため息をついている。
「今年も忙しそうだな…せめてクリスマスは11月とかにしてくれたらいいのに」
そんなことを言い出す涼に対し、私はスケジュールを覗き込みながら話しかけてみる。
「今年も、飲みが続くの?遅い?」
「うん、遅くなると思う」
「多少断って、早く帰ってくればいいのに…」
「それができたらいいけどさ…僕が断ることができない性格なのは、奈津美が一番知ってるでしょ?」
「そうだね」
― どうせまた、連日酔っ払って帰ってくるんだろうな。
付き合いが長くなると、そんなことくらい簡単に想像できる。
「奈津美、ごめんね。あんまり構ってあげられなくて」
だから連日帰りが遅い涼に対して、もう何も期待はしていなかったし、遅くなって帰宅しても、何も言わないようにしていた。
そんなことよりも、私の心がエグられたことがある。
それは、年始の過ごし方のことだった。
「それはいいよ。ところで、涼。年始はどうする?」
「あー…どうしようかな」
「私の家で、おせち食べる?」
私の実家は、調布にある。実は母から「さすがに今年は、涼君も連れてきたら?」と言われていた。
36歳になる娘が、交際3年にもなる彼氏を一度も連れてきていないのは、両親も心配になるのは当然のこと。
だから良い機会だと思って、私は涼に「一緒に実家へ帰らない?」と誘っていた。
しかし相変わらず涼は無責任だし、ゴモゴモと何か口籠っている。
「いや、でもやっぱりいいや。迷惑だと思うし」
「迷惑ってことはないと思うけど。私は帰るし、おせちは誰が来ても来なくても作るみたいだし」
「奈津美は行くんでしょ?せっかくだから、実家でゆっくりしてきなよ」
― いや、違うのよ。一緒に帰りたいんだよ。
でも涼は今回も私の家に来るとか、両親に挨拶するといった発想はないらしい。
「涼はどうするの?」
「うーん。一旦、実家に顔出そうかな」
それなら、私が涼のご実家へ行けばいい。そう思った。
しかしこのオファーも、あっさり打ち砕かれてしまった。
「私も一緒に行こうか?ご挨拶もしたいし」
「いや、いいよ。奈津美は自分の実家で楽しんできて」
100歩譲って、私や涼の実家がどこかの離島だったり、片道5時間もかかるような辺鄙な場所…とかならわかる。
しかし私の実家は調布だし、涼にいたっては、ご実家は世田谷区にある。30分程度で行ける近場に住んでいるのに、もちろん私は一度も涼のご両親に紹介もされていないし、紹介される気配もない。
実は毎年、お正月が来るたびに心のどこかで期待していた。
「今年こそ、どちらかの家へご挨拶へ行けるかな」と。
でも涼はその気はゼロだ。
私の家はもちろんのこと、涼のご実家にすら私を連れて行く気はない。
私のことを本当に大切に思ってくれているのなら、結婚を見据えてさすがにそろそろ動き始めているはず。でも何も動かず、実家へ来るのも拒む涼の姿を見て、私は愕然としてしまった。
― これが、きっと涼の答えなんだろうな。そしてこの先、ずっと変わらないんだろうな。
涼の年齢だけが、原因ではない気がしてきた。
涼はまだまだ落ち着く気もないし、私が40歳になっても、同じような小競り合いを続けている気がする。
「決断するなら、早いうちがいい。今じゃないと」
私は自分の未来をちゃんと一緒に考えられるような人を探した方がいい。涼も、出産のリミットがまだまだあって、急かさないような人と付き合った方がいい。
「好きだけど、別れよう」
そう思い、30代前半の約3年という、長くて貴重な時間を費やした恋にピリオドを打つことを決めた。
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