ブダペストから鉄道でプラハへ
ハンガリーのブダペストから、次の目的地であるチェコのプラハへは鉄道で向かった。所要時間はおよそ7時間。中欧を横断するかたちで、スロバキアを経由しながら北へと進むルートだ。出発したのは昼過ぎ。車窓にはしばらく穏やかな風景が続いていたが、時間が進むにつれ外は次第に暗くなり、いつの間にか窓の外は夜の色に変わっていた。
長距離移動ではあるものの車内は落ち着いた雰囲気で、レストラン(食堂車)もある。ゆったり過ごしたり仕事をしたり、ブダペストの余韻を残しつつ、少しずつ気持ちを切り替えていく。鉄道旅ならではの時間の使い方ができるのも中欧を巡る旅の魅力だ。
プラハは赤茶色の屋根が折り重なる街並みが印象的な都市。中世から近代にかけての建築が密集し、建物同士の距離がとても近い。そのため、少し歩くだけで次々と景色が切り替わり、いつか見た映画の中にいるようにも感じられる。

旧市街を中心に主要な見どころは徒歩圏内に集まっているので、アクティブに楽しみたい。石畳が多いので足元には少し注意が必要だけれど、冬は暖かいブーツさえあれば意外とどこまでも歩けてしまう。疲れたら気になるカフェに入ってひと息つく。そんなペースが似合う場所。
街を東西に分けるブルタヴァ川にはいくつもの橋が架かっており、なかでもカレル橋はプラハを象徴する存在だ。彫像が並ぶ橋の上から眺める街並みは、どの時間帯でも絵になるが、昼間は特に建築のディテールがよく見える。フランシスコ・ザビエル像をはじめ30体もの聖人像が並ぶ。

中でもひときわ人気だったのは、聖ヤン・ネポムツキー像。右側の台座のレリーフに触れると幸せが訪れるといわれている。

街歩きの途中で立ち寄りたくなる場所として、市民会館(オベツニー・ドゥーム)も覚えておきたい。アール・ヌーヴォー様式の装飾が美しいこの建物には、レストランやカフェが併設されており、内部の空間そのものが見どころだ。
今回は食事はしなかったが、次に訪れるならぜひここで一度、ゆっくり時間を過ごしてみたいと思える場所だった。

旧市街で出合う時間と芸術

プラハ旧市街広場に立つ天文時計は、15世紀に作られた世界最古級の天文時計として知られていて、正時になると鐘の音とともに仕掛けが動くため、それを見ようとたくさんの人が続々と集まってくる。
この広場一帯は、プラハという街の時間が凝縮されているような場所で、広場を囲むように歴史的建築が並び、視線を上げればゴシック様式の双塔が印象的なティーン教会も目に入る。
建物同士の距離が近く、少し歩くだけで景色が切り替わるため、プラハの世界に包まれるような感覚になるだろう。

観光の中心地ではあるものの、広場から一本路地に入れば雰囲気は落ち着き、小さなショップやギャラリー、カフェが点在し、行き先を決めずに歩くのが楽しいエリアだ。さりげなく現れる教会建築も多く、中世から近代へと重なってきた街の歴史を自然と体感できる。
ランチで立ち寄ったのは、天文時計のすぐ近くにあるレストラン「420」。歴史的建築を生かした空間で、ミシュランの星を獲得したシェフが手がける、現代的にアレンジしたチェコ料理を楽しめる。
ピンク色の壁が印象的な店内は吹き抜けになっており、肩ひじ張らずに過ごせる雰囲気が心地いい。

店内で焼かれているパンは、地下階で販売もされている。この地下は、かつては地上階だった場所で、時代とともに街の水位が上がったことで現在は“0階”になったのだとか。そんな話を聞きながら食事をすると、この街が重ねてきた時間の厚みまで身近に感じられる。

