2.利用できる公的制度と補助
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介護が必要になった時に利用できる代表的な制度が介護保険です。
介護保険制度
利用可能な年齢は、65歳以上。市区町村の窓口に申請し、要介護認定調査を経て要支援1~2、要介護1~5のいずれかに認定されることで、サービスが利用できます。
介護保険の自己負担割合
・原則:1割
・一定以上の所得がある方:2割
・現役並みの所得がある方:3割
負担割合の判定は、合計所得金額と年金収入等を組み合わせて行われます。実際の負担割合は、毎年送付される「介護保険負担割合証」に記載されています。
高額介護サービス費制度と自己負担上限額
介護保険サービスの自己負担は原則1割(所得により2~3割)ですが、利用が多い月は負担が大きくなり過ぎないよう、月ごとの自己負担額には上限が設けられています。
支払った金額がこの上限を超えると、後から払い戻されます。
自己負担の上限額(月額)は次の通りです。
住民税非課税世帯:15,000円/24,600円(区分により異なる)
一般世帯:44,400円
現役並み所得者がいる世帯:93,000円 または 140,100円
介護サービスをどれだけ利用しても、月ごとの負担が一定額を超えないように調整されているため、長期間の介護が必要な場合でも家計への急激な負担増を防ぐことができます。
高額医療・高額介護合算療養費制度
同一世帯で医療保険と介護保険の自己負担が高額になった場合、年間の合算額が上限を超えると払い戻されます。
住宅改修費の支給
要介護認定を受けた方が、自宅で安全に生活を続けられるようにするため、介護の初期段階を支える目的で設けられている制度です。手すりの設置や段差の解消、トイレの改修など、自立支援に繋がる小規模な工事に対して、上限20万円の範囲で費用の9割(18万円)が支給されます。なお自己負担割合が2割・3割の方は支給額が異なります。
特定入所者介護サービス費(補足給付)
特定入所者介護サービス費(補足給付)は、世帯全員が住民税非課税の人や生活保護を受給している人が施設に入所する場合に、居住費・食費の自己負担を軽減する制度です。利用には預貯金などの資産要件があり、資産額の上限は所得区分によって異なりますが、目安として単身者は500万~1000万円以下、夫婦世帯は1500万~2000万円以下である場合が対象となります。
医療費控除
介護サービス費用の一部や、おむつ代なども医療費控除の対象になる場合があります。
3.認知症の診断を受けると相続などの手続きに支障が出る?
前提として、要介護認定に認知症の診断は必須ではありません。要介護認定は身体機能や認知機能を総合的に評価するため、認知症の症状がなくても身体的な介護が必要であれば認定されます。
認定の際に判断材料になるのは、意思能力があるかどうかです。意思能力とは、「自分の行為の意味や結果を理解して判断できる力」のことを指します。よって認知症と診断されたとしても、症状が軽い段階であれば、意思能力があると認められる場合もあります。
一方、意思能力がないと判断された状態になると、遺言書の作成や遺産分割協議、各種の契約行為ができなくなり、相続に関連する手続きがスムーズに進まないことが想定されます。
なお、ご質問の「〇〇をすると△△ができなくなる」の具体例としては、上記のように意思能力を失い、成年後見制度を利用することになった場合が挙げられます。
成年後見制度を利用すると、本人財産の保護が最優先となるため、使い道が厳密に管理されます。介護費用であっても資金を自由に動かしづらく、相続時の遺産分割協議も柔軟な対応が難しくなることがあります。また、後見人には継続的な報酬が発生するという点も注意が必要です。