◆コングロマリット解消を目指す三菱ケミカル
三菱ケミカルは今期の純利益が前期の1.8倍に拡大する予想を出しており、決して業績が悪いわけではありません。大規模な人員削減の背景にあるのは組織変革であり、第一生命と似ています。異なるのは、事業領域の拡大の逆であるということ。コングロマリットを解消してコア事業への選択と集中を進めるのです。「中期経営計画2029」において、「ビジョンの整合性」「競争優位性」「成長性」の3つの基準に満たない事業は整理、撤退すると宣言しました。特に石油化学製品などのケミカルズ事業を最も稼ぐセグメントにするべく、コア事業の磨き込みを行う計画です。
大胆な改革に伴い、人員構成の最適化を図るため、希望退職者の募集を行いました。
三菱ケミカル以外の会社もかつては競争優位性を獲得するため、事業の多角化を進めた時期がありました。しかし、今はコングロマリットディスカウントという株価の低迷に悲鳴を上げるケースも少なくありません。複合的な事業展開をする会社に対して、市場が厳しい見方をするようになったのです。
東証がPBR改善を各企業に迫る中、コングロマリットの解消は日本企業のトレンドの一つになるかもしれません。それにあわせた大規模なリストラが進行してもおかしくはないでしょう。
<TEXT/ 不破聡>
【不破聡】
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界

