◆ラブホ清掃バイトが「私の人生の彩り」

古山:私のような20代は少なくて、年配の女性が多いです。最初に私の指導係をしてくれた人は、まあぶっきらぼうな人で。初日に「よろしくお願いします」と挨拶をしても、「さっさとサンダルに履き替えてくれる?」とだけ返されました(笑)。その時は「なんだこの人、もうこのバイト先には来ないかな」なんて思ったんですが、夜中に一緒に休憩に入ってタバコを吸ったりしているうちに、徐々にお菓子をくれたり、一人暮らしで大変だろうと夕飯を持ってきてくれたりするようになりました。他のおばさんたちも決して分かりやすい形ではないけれど、とても優しいんです。今までのバイト先では周りの人からの扱いに傷付くことも多かったので、こんな職場今まで見たことないな、と感動しました。
ラブホ清掃バイトを始める前は、他の人と会話もせずに黙々と働くイメージだったんですが全然違っていました。クリスマスシーズンはお客さんの誰にも見られないのに、サンタ帽を被らされたりするんですよ。「本当の家族か?」と思うような口喧嘩も時折しています。
仲が深まっていくのと同時に、みんなさまざまな事情を抱えているということも分かってきました。例えば、勤務時はとても威張っている人が、実は家に帰ると一人で孤独を感じているとか。ラブホテルという職場が、そういう人たちの居場所になっているというのを知ったし、 気付いたら自分にとっての居場所にもなっていました。
——古山さんは「音楽深化論」というYouTubeのオーディション番組で優勝したことをきっかけに音楽活動が徐々に忙しくなっているそうですね。今後さらに忙しくなったら、ラブホテルでのアルバイトはやっぱり辞めてしまうんでしょうか?
古山:いえ、もう絶対に続けたいですね。それこそ私が70歳ぐらいになって、しゃがれた声になっても続けたいです。職場の人たちも、ラブホテルで起こる出来事も、私の日々を面白くしてくれている大きな要因です。人生の彩りになっています。
——極彩色の彩りですね(笑)

YouTube:古山菜の花
X:@kkkk_k1109
Instagram:@kkkk_k1109
note:清掃員:N
<取材・文・撮影/菅野真沙美>
―[古山菜の花]―
【菅野真沙美】
フリーライター。全国紙記者、ブランディング会社ライター・ディレクターを経て現職。暴れん坊の猫3匹を飼っています。

