
部下へのイライラが、なぜか無駄遣いにつながってしまう――。実はその裏に、気づかないまま起きている〈嫉妬〉が潜んでいることがあります。発作のように感情が伝染し、判断力を狂わせ、浪費と後悔を繰り返してしまう、その仕組みとは? 本記事では、心理カウンセラー・大嶋信頼氏の著書 『お金に振り回されない生き方』(総合法令出版)より、一部を抜粋・編集し、“嫉妬の発作”への対処法について詳しく解説します。
“部下への嫉妬”で無駄遣いをしてしまう?
私たちの脳の中には「ミラーニューロン」と呼ばれる神経細胞があります。1996年にイタリアの脳科学者によって発見されました。人は他人の動作を見ているとき、この神経細胞の働きによって、自動的にその人の真似をすることがわかっています。
イメージしやすい例でいえば、人があくびをしているのを見ていると、別に眠くもないのに自分もあくびをしてしまう症状です。厄介なことに、脳の発作でも同じことが起きます。他人の発作が脳のネットワークによって伝染してしまい、自分も発作を起こしてしまうことが起きるのです。
脳の発作の中でも、嫉妬の発作はより強いエネルギーで伝染します。まるで電気ショックを浴びるように、ダメージを与えられてしまうのです。
子どもの頃に高熱でうなされて、「自分の手が、ものすごく大きくなっている」と、まるで手がグローブよりも大きくなった感覚になったことがありました。もちろん実際に大きくなっているわけではありません。
嫉妬の発作を起こしているときも同じように、普段だったらたいしたことないと思えることでも「ものすごく大変なこと!」に見えてしまい、そのことに対して怒ったり、パニックになってしまったりします。その後、発作が治まると、「あれ?なんであんな無駄なことに浪費しちゃったんだろう?」と後悔します。
あるいは発作に気づくこと自体できず、後悔することもなく、「ちっともお金が貯まらない!」現実だけがずっと続いていくこともあります。
私も昔、会社勤めをしていたとき、部下が先輩から可愛がられていて、「あいつ本当に生意気!」と嫉妬の発作を起こしていても、そのことに気づけないでいました。嫉妬の発作で破壊的な人格に変身して、週末に「まあいいか!」と電気屋でコンピューターの部品を買ってしまいます。せっかく買ったのにうまく使いこなすことができずに、押入れの中に積まれていきます。
それでも「ストレス解消に必要だから!」と自分に言い訳をして、給料日前になったら「食事代がない!」と、5日間も水道の水だけで過ごす生活を送ったこともありました。
他人から見たら「計画性がない」とか「経済観念に欠けている」と批判されてしまうような生活です。でも、そのときの私は、自分はケチでせこい人間で、財布のひもは固いほうだと思っていたのです。
発作を治めるシンプルな方法
あるとき、またその部下を見ていてイライラすることがありました。そこで少し不思議に思ったのです。その部下は成績が悪いわけでもなく、むしろ良いほうでした。反抗的な態度を取るわけでもなく、上司である私の立場からすれば嫌うような部下ではありませんでした。
そこで私は、「あ、これは嫉妬しているんだな」と気づきました。自分より下の存在である部下が先輩から可愛がられている。嫉妬の条件が揃っていたわけです。そう気がついてからしばらくすると、興味深いことが起こりました。
無駄遣いをしなくなり、徐々にお金が貯まるようになったのです。毎週末の電気屋通いをする気がなくなって、「なんであんな無駄遣いをしていたんだ?」と自分が怖くなりました。つまり、自分が嫉妬していることを認めたら、発作が治まったのです。
嫉妬の発作に対処する一番簡単な方法は、「お金がない!」と思ったら、まずは「あ! 嫉妬の発作を起こしているかも?」と疑ってみることです。次に不快だと思う人を思い浮かべてみます。そして「あの人に嫉妬しているんだ!」と自分で認めてしまうのです。
このときに、「あの人が悪いのに、なんで私が嫉妬なんかしなきゃいけないの?」と認めたくない気持ちが湧いてくるかもしれません。でもその「嫉妬しているなんて認めたくない!」思考こそ、嫉妬の発作が起きている証拠なのです。
それを専門的には〝否認〟と呼びます。否認こそが発作が起きている証拠です。口に出さなくても考えるだけでいいので、「あの人に嫉妬しているんだ!」と言葉にしてしまうと、「あれ? なんであんなことしてたんだろう?」と現実の世界がちゃんと見えてくるようになるのです。
大嶋 信頼
心理カウンセラー
