「強制帰国はあっても逮捕はない」海外出稼ぎに興味を持つ女性にスカウトがかける“巧妙な誘い文句”とは?

「強制帰国はあっても逮捕はない」海外出稼ぎに興味を持つ女性にスカウトがかける“巧妙な誘い文句”とは?

海外での売春は、多くの国で違法とされているだけでなく、入国拒否や強制送還といった法的リスクに加え、身の安全が脅かされるようなトラブルに巻き込まれる可能性もある。

しかし、それでも海外で稼ぎたいと考える日本人女性たちがいるのも事実だ。海外出稼ぎを仲介するスカウトやエージェントは、こうした女性たちに対し、リスクをどのように説明しているのか。悩んでいる女性に“無理強い”するようなことはないのか。

海外出稼ぎを検討する女性を装い、複数のスカウトやエージェントに実際に問い合わせをしてみると……。

※ この記事は、フリーランス記者・松岡かすみ氏による『ルポ 出稼ぎ日本人風俗嬢』(朝日新書)より一部抜粋・再構成しています。

スカウトに連絡すると、返信が…

実際に、こうしたエージェントやスカウトたちに問い合わせると、どんなやり取りが発生するのだろうか。

それを知りたくて、スカウトやエージェントを名乗る複数のアカウントに、海外出稼ぎを検討している女性を装い、共通のメッセージを送ってみた(多くのアカウントは、ラインでのやり取りもできるよう、ラインの追加ができるURLを共有していたり、DMで直接問い合わせができるようになっている)。

聞いたことは、①入国してからの主な流れ、②仕事内容、③怖い目に遭う危険性、④入国時のリスクはないか、⑤支払いはいつどういった手段になるか、⑥今稼げる国、⑦リスクの高い国とその理由、⑧英語の必要性、⑨海外出稼ぎに行く人の平均的な期間と接客人数、平均収入、⑩ノルマの有無だ。

ここでは2人からの返信を紹介しよう(※は著者)。

「海外出稼ぎ専門」を名乗るスカウトA氏からの返信

初めまして、Aと申します!
お問い合わせありがとうございます。質問にお答えさせていただきます!

①入国してからの主な流れ
基本的に空港までお店の人が迎えに来てくれるので、車に乗ってお店や泊まるホテルなどに移動して、準備ができたら勤務開始になります。

②仕事内容
日本でいうソープと同じで、お店を介して働くことになります。インコール、アウトコールと呼ばれる、部屋で仕事をするタイプと、お客様のところに行くタイプに基本的には分かれます。

③怖い目に遭う危険性
前提として危ないと思われる国には僕は紹介しません。ただ、お客様が酔っ払って乱暴なプレイをされたなどは事実としてあります。しかしよく見かける拉致られるとか薬漬けにされるとかは、僕は一度も経験したことがありません。万が一、客が暴れた、乱暴なことをされたなどがあれば、お店のボスやスタッフが然るべき対応をしてくれます。また、そのように対応してくれるエリアやお店をピックアップさせていただきます。あとは、僕とエージェントでもそういった問題が発生した場合には、しっかりとサポートさせていただいております。

④入国時のリスク
逮捕などのリスクはありませんが、入国を拒否される場合があります。拒否されるとその時点で日本に帰ることが確定するのと、入国拒否された国には一定の期間を空けないと入国できなくなります。不法入国と疑われた時に別室に連れて行かれることがあるのですが、別室対策も準備として取らせてもらっています。

⑤支払いのタイミングと手段
帰国される前に海外から日本へお金を送金する依頼をするのですが、僕は女の子が帰国してから、1〜2日で都内で直接手渡しとしております。

⑥今稼げる国
女の子のレベル(容姿、スペック、肩書き)によって若干提案する国は変わりますが、一般的なところですと、アメリカ、オーストラリア、カナダが一番無難な選択肢になります。

⑦リスクの高い国
現状では自分が案内した女の子が捕まったり、誘拐されたなどはありませんが、東南アジアの一部の地域は、他の国に比べて安全とは言えない場所もあります。

⑧英語の必要性
話せなくても全然お仕事はできますが、話せたほうが稼ぎが上がるのは事実です。また、入国する際には簡単な英会話は話せるようにしておいたほうが良いです(動画を見ればすぐにわかります)。

⑨期間、接客数、収入
期間は2週間〜1か月が一番多いかと思います。接客数はお店と女の子によるので一概には言えないです。収入は低く見積もって、アベ(※1日の平均給料)15〜25(※15万〜25万円)で考えておくといいかと思います。

⑩ノルマの有無
ノルマはありません。

「海外出稼ぎエージェント」を名乗るB氏からの返信

ご連絡ありがとうございます!
一つ一つお答えさせていただきます!

①入国してからの流れ
お店によっては空港まで迎えに来てくれます(たまに自分で行かなければならない国もあります)。現地のお店についたら、簡単に仕事の流れについて説明を受けます。それからすぐにお仕事といった流れになります!

②仕事内容
お仕事内容は、マットなしソープのNSになります!(※NS=ノンスキン=コンドーム未着用の略)

③怖い目に遭う危険性
たまに無理やりやろうとしてくるお客さんはいます。高級店ですと、それは少ないです。アメリカで一度、店に銃を持った強盗が入る事件がありましたが、女の子には何もありませんでした。

④入国時のリスク
入国の際にちゃんとした準備をしてないと日本に帰されることはありますが、逮捕はありません。

⑤支払いのタイミングと手段
支払いは現地でお仕事終わりにいただけます! ただ持ち帰ってくるのに大金は危ないので、送金や自分で海外口座を作って持ち帰ります。この際、送金を選ぶ場合は、持ち逃げされる可能性もあるので、ちゃんとAG(※エージェント)、スカウトを選ぶことをお勧めします。

⑥今稼げる国
アジア等もありますが、やはり一番強いのがアメリカです。オーストラリア、カナダも稼ぎは強いです!

⑦リスクの高い国
ドバイ、シンガポール、香港、イギリス、ラオスこちらは逮捕されるリスクがある国です!

⑧英語の必要性
話せるに越したことはないですが、話せなくても大丈夫です。

⑨期間、接客数、収入
行く国、女の子にもよりますが、例えばオーストラリアで1日6〜12人で、大体1500ドル〜3000ドルです。

⑩ノルマはあるかどうか
ノルマ等、写メ日記(※ネット上で公開する写真がついた日記、風俗店の主な宣伝ツールの一つ)もないです。仕事も「明日休みます」もOK、途中でお休みもOKです。

“不慣れな人”を巧みに突く言葉選び

A氏、B氏ともに、返信は問い合わせを送った当日中と早かった。2人の話を踏まえると、行き先として「無難」で「稼げる」のは、アメリカ、オーストラリア、カナダの3か国のようだ。

入国審査時に対策をしていないと、入国拒否になる可能性があることも示唆している。

また、自分たちを介在させるメリットとして、怖い目に遭ったりトラブルが起きた時にサポートすること、そもそもトラブルが起こらないような店を選んで紹介することに加え、信用できるエージェントやスカウトを選んで送金しないとリスクがあることを示している。

不慣れな人ほど、「彼らを通したほうが何かと安心なのではないか」と思わせるポイントを突いている印象だ。

無論、メッセージのやり取りだけでは十分な説明とは言えないが、返信には「直接都内で面談なども可能ですので、良ければご相談ください」「ラインなどで電話も可能です」とも添えてある。

「少し検討してみます」と返すと、「かしこまりました」「ご連絡お待ちしております」との返事があり、その後は特に催促などもない。

問い合わせを送ったが最後、「その後、いかがですか?」「稼げるから早く行ったほうがいいですよ」など、鬼のように営業メッセージが来るのではと内心案じていたので、ちょっと拍子抜けした感もあった。

彼らのツイートを見ると、「あまりに海外出稼ぎの問い合わせが多くて、返信に少々お時間をいただいております」「早めの返事をご希望の方は、ラインのほうが早いので、ラインからお問い合わせをお願いします」など、見るからに多忙そうだ。

それが本当なのかどうかは不明だが、「聞かれたことに答えるのみ」という姿勢を見ると、あながち問い合わせを受けた人に対し、事後フォローをしている時間などないのかもしれない。

配信元: 弁護士JP

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