◆バックミラーに映ったのは“激昂した顔”

しかし、そこに後ろから猛スピードで近づいてくる黒いセダンが……。
「バックミラーを確認すると、中年男性の“激昂した顔”が見えました」
逢坂さんは、「私が法定速度を守ってノロノロ走っていることに怒っていたのではないか……」と思ったそうだ。黒いセダンは、逢坂さんの車の後ろにぴったりとつき、ハイビームを何度も点滅。あきらかに敵意を示していた。
「心拍数が上がっていくのがわかりました。『落ち着け、冷静に』と言い聞かせながら、安全な場所を見つけて車線変更をしようとしたのですが……」
黒いセダンも車線変更し、再び逢坂さんの後ろに張りついてきたのだとか。やがて横に並び、窓を開けて罵声を浴びせてきたという。
「相手のジェスチャーもかなり激しくて、本当に怖かったです。汗がにじみ出てくるのが自分でもわかりました」
そのとき、高速道路脇に“休憩エリア”が見えてきたそうだ。
◆震える声で“大変申し訳ございませんでした”
逢坂さんは“わざと人目のある場所”に停車し、落ち着こうと深呼吸をした。
「相手は私の横に車を止めて、怒りをあらわにして降りてきたんです」
その瞬間、偶然巡回中だったパトロールカーが男性に近づいてきた。どうやら、乱暴な運転を見ていたようだ。
「パトロール隊員が男性に近づいて話しはじめました。男性の表情は一瞬で変わって、血の気が引いていましたね」
逢坂さんには、「複数の監視カメラにあおり運転の様子が映っていたこと」や「すでに通報があったこと」などが伝えられた。そして20分後……。
警察官に付き添われて現れた男性は、逢坂さんの前で“顔を赤らめながら”深々と頭を下げた。
“大変申し訳ございませんでした”
先ほどまでの勢いはなく、「仕事のストレスが溜まっていた」と小声で言い訳を口にしたそうだ。その声は震えていて、何度も頭を下げながら車へと戻っていった。
<取材・文/chimi86>
【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

