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「まいばすけっとは都民への罰」イオンの小型スーパーが首都圏で1200店舗にまで増えたワケ。「ご褒美感がない」のは戦略だった――週末ベスト

「まいばすけっとは都民への罰」イオンの小型スーパーが首都圏で1200店舗にまで増えたワケ。「ご褒美感がない」のは戦略だった――週末ベスト

◆”特売セール”、”目玉商品”はほぼナシ

3.365日あまり変わらない「独自の品揃え」

墨田区・JR両国駅東口前の歓楽街にある「まいばすけっと」。ここは元々パチスロ店だった。様々な業態の店舗跡を利用することでコストを抑えているのも「まいばすけっと」の特徴だ。(写真:若杉優貴)
「まいばすけっと」の最も大きな個性といえるのが、「コンビニやスーパーとも異なる独自の品揃え」だ。

 先述したとおり「まいばすけっと」は一般的な食品スーパーよりも狭い。狭い面積のなかに日配品・生鮮品・冷凍食品に総菜・弁当まで品揃えされているため、店内に置くことができる商品も限られてくる。それゆえ、日配品はもちろんのこと生鮮品・冷凍食品に至るまでイオングループのプライベートブランド「トップバリュ」商品が多く品揃えされており、「ナショナルブランドが全く置かれていない品目」も少なくない。また、おもな商圏を徒歩圏内としているため、近年人気を集める「業務用食材店(業務スーパーなど)」や「卸売りスーパー(コストコなど)」でみられるような「”大容量の商品”を殆ど置いていない」ことも特徴だ。

 そして、オススメ商品へのWAONポイント付与やイオン共通のポイントデーなどを除いて「”特売セール”や”目玉商品”などを殆ど設けていない」ことも特徴の1つ。もちろん、特売をおこなわないがゆえに新規開店などを除くとチラシの発行も滅多におこなっていない。いわゆる”季節商品”や”季節に合わせたフェア”も一般的なスーパーはおろか、コンビニと比べても少なくなっている。(とはいえ鏡餅や恵方巻きの販売、おせち料理の予約などは実施しているほか、「北海道フェア」「沖縄フェア」が実施されることもある)

 このような「まいばすけっと」の品揃えにおいて、最大の特徴といえるのが「店内で加工・調理をおこなった弁当・総菜や生鮮品が無い」ことだ。

 店内で作る弁当や総菜は近年の中食需要の高まりにより多くのスーパーが力を入れている分野で、弁当・総菜や生鮮の専門テナントが出店していることも多い。もちろんコンビニでも一部の弁当や総菜を店内加工・調整しているところがあるほか、レジ近くににおかれているホットスナックはコンビニ各社の看板商品となっている。

 しかし、こうした店内加工・調理をおこなうとなると多くの従業員や作業場のスペースが必要となるうえ、自治体による特別な許可等も必要となってくる。「まいばすけっと」はこうした手間を無くすべく、弁当・総菜や生鮮品などの加工を全てセンターでおこない、それぞれの店舗へと配送している。また、各店の売場は基本的に直営のみで専門テナントも導入されていない。一方で、これこそが、SNSなどでしばしば「まいばすけっとよりも普通のイオンのほうがお弁当や総菜が美味しい…」といわれる所以でもあろう。

 このように「まいばすけっと」は狭い範囲に全店直営で展開、画一的な店づくりをおこなうことによって、「スーパーでありながら一般的なスーパーよりも効率的」「コンビニサイズでありながらコンビニよりも安い」を実現させているのだ。

◆「ご褒美感がない」からこそ増えることができた?

「どこの店に行ってもあまり変化がない」「ご褒美的な珍しい商品が少ない」といわれる「まいばすけっと」だが、それこそが「店舗網拡大のヒミツ」だったことが分かっていただけたであろうか。

 首都圏を中心に1,200店舗にまで増えた「まいばすけっと」。イオンは今後もコンビニ等の跡を活用して新規出店を進め、将来的には5000店舗体制をめざすとしている。

 2025年時点は東京23区内にイオンモールは出店していない一方で、東京23区内の「まいばすけっと」は約1,000店舗以上。仮に1店舗あたりの売場面積を約200㎡とすると、その総面積は20万㎡にも及ぶ。イオンモールの旗艦店である「イオンモール幕張新都心」(千葉県千葉市美浜区)の総賃貸面積(イオンのスーパーと全テナントを含む)が約128,000㎡であることを考えると、面積でいえば単純計算で東京23区内にイオンモールの旗艦店が2つあるようなもの。「まいばすけっと」はほぼ全床直営売場であるため、「イオンとしての存在感」はさらに大きいといえる。

 都心回帰の動きが高まるなか、イオングループでは「まいばすけっと」のほかにも、かつてダイエーグループだった「マルエツプチ」や「ビッグエー」などといった小型スーパーはもちろん、「ツルハ」「福太郎」などイオンと関係が深いドラッグストアも首都圏での店舗網を拡大している。

江東区の公団住宅(UR)下層階に出店する「ビッグエー」と「くすりの福太郎」。現在はどちらもイオングループだ。「イオンと縁遠い」と感じる人が少なくない東京23区内だが、実は「イオングループの店舗数」は全国最多級。(写真:若杉優貴)
 イオンといえばイオンモールに代表されるような大型ショッピングセンターや総合スーパーを連想する人が多く、とくに東京都心では「イオンにはあまり縁がない」と感じている人も多かったであろう。しかし、今や「都民の生活を支えているのはイオングループである」といえる時代となったのかも知れない。

【参考文献】
東洋経済 編(2014):「食品スーパーが反攻-都心で熾烈な陣取り合戦」東洋経済6523号 ,東洋経済新報社.
安倉良二(2021):「大型店の立地再編と地域商業 : 出店規制の推移を軸に」海青社.
若杉優貴(2021):「大型店の撤退による地方都市の中心商業地変容に関する地理学的研究」.
「まいばすけっと」ウェブサイト
⇒【本文中画像】引用元

【若杉優貴(都市商業研究所)】
『都市商業研究所』。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitter:@toshouken
配信元: 日刊SPA!

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