日銀が利上げを行ったというニュースを見ても、「自分の住宅ローンの返済額は変わっていないから大丈夫」と感じる人が少なくないのではないでしょうか?とくに変動金利型の住宅ローンを利用している場合、毎月の引き落とし額が同じであれば、生活への影響を実感しにくいものです。
ですが、日銀の利上げによる影響は、返済額よりも先に「返済の中身」から現れます。返済額が据え置かれている間にも、利息と元金のバランスは少しずつ変わり、気づかないうちに返済計画にズレが生じていくことがあります。
この記事では、日銀の利上げにともない、返済予定表をどう読み、どの段階で家計として判断すべきかについて、できるだけわかりやすく整理します。
返済額が変わらなくても、ローンの中身は変わり始めている
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変動金利型の住宅ローンでは、日銀が利上げを行っても、すぐに毎月の返済額が上がるとは限りません。多くの金融機関では、返済額を一定期間据え置く仕組みを採用しているためです。
そのため、「ニュースでは利上げと言っているが、返済額が変わらないなら問題ない」と受け止めてしまいがちです。しかし、返済額が同じでも、その内訳である「利息」と「元金」は、金利の変化に応じて確実に動いています。
利上げの影響は「利息の割合」から静かに現れる
日銀の利上げによって住宅ローン金利が上がると、まず増えるのは利息です。住宅ローンの利息は「借りている残高 × 金利」で決まるため、金利が上がれば、毎月発生する利息も増えます。
返済額が変わらない場合、増えた利息分は、元金に充てられるはずだったお金を削る形で吸収されます。その結果、毎月きちんと返済しているのに、ローン残高が思ったほど減らないという状態が生まれます。
この段階では、家計の支出は増えていません。しかし、完済までの距離は少しずつ伸びています。これが、利上げ局面で起きやすい「気付きにくい変化」です。
「125%ルール」は安心材料ではなく、時間調整の仕組み
多くの金融機関では、日銀の利上げによって金利が上がっても、返済額が急に増え過ぎないよう、「125%ルール」を設けています。これは、返済額を見直す場合においても、直前の返済額の1.25倍までに抑える仕組みのことです。
このルールによって、金利が上昇しても、家計が急に苦しくなることはありません。ただし、利上げの影響そのものが消えているわけではありません。
返済額が抑えられることで生まれる「未払い利息」
本来、金利が上がれば、それに見合った返済額が必要になります。しかし125%ルールによって返済額が抑えられると、必要な利息をその月に払い切れないケースが出てきます。この時に発生するのが「未払い利息」です。
未払い利息とは、その月に発生した利息のうち、返済額の範囲内で払い切れなかった分のことです。「今は払っていないけれど、無くなったわけではない利息」と考えると、イメージしやすいでしょう。