「医者はモテる」はもう古い…“結婚できない医者”が増加しているワケ。地位や名声はむしろ「足かせ」に

「医者はモテる」はもう古い…“結婚できない医者”が増加しているワケ。地位や名声はむしろ「足かせ」に

◆患者とは「1対1」で会わないように徹底

取材では、特に年配の医師から「ハラスメント」と訴えられることへの恐れが語られた。

「開業医の場合、自分の身は自分で守らないといけません。ハラスメントや風評被害について、かなり神経質になっている部分はあると思います」

関東近郊で内科系クリニックを運営する柴田元孝さん(仮名・50代前半)は言う。プライベートでは離婚を経て、結婚相談所で出会った女性と’25年に再婚した。柴田さんの場合、同僚であれ患者であれ、仕事で接する相手は「恋愛対象として見ない」との方針を貫いているという。

「特に気をつけているのは対患者。診察時には必ず看護師をそばに置き、『1対1』にならないよう徹底しています。診察上、胸を見る必要がある場合も毛布をかけて下着は見えないようにするなど、『必要最小限』も意識しています」

‘16年には、手術中に「胸を舐められ、自慰行為をされた」として、都内の病院に勤める乳腺外科医が女性患者からクレームをつけられ、その後準強制わいせつ罪で起訴される事件が起きている。’25年には医師の無罪判決が確定したが、柴田さんは言う。

「自分もいつ同じような訴えを受けるかはわかりません。万が一に備えて証言者を立てておくことは、常日頃からとても大事なので……。患者と院外で会う? そんなのもってのほかです」


◆立場ある医師ほど「針のむしろに立たされている」

職場恋愛に限らず、訴訟リスクや風評被害対策にも頭を悩ませるという(写真:AdobeStock)
‘20年には改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)が施行。大病院はもちろん、中小の病院やクリニックにも相談窓口の設置などパワハラ防止措置が義務づけられた。医師が中心の結婚相談所「医師婚」で代表を務め、1000組以上の医師の成婚に携わってきた鶴田奈央さんは、こうした社会の動きが「医師のプレッシャーを強める一因となっている」と指摘する。

「特に医師の場合、プライベートよりも、自身の職業上の使命感を優先させたいと考える方が多い。周囲に気づかれず結婚を短期集中で実現でき、かつ、仲人を介在させることで当事者間の意向が率直に反映できるーーそんな効率の良さに惹かれ、結婚相談所に入る方は近頃かなり増えています」

前出の柴田さんからは、取材中、こんな話もあった。

「医師から看護師に言い寄って度が過ぎれば、勤務医であれば相手の直属上司から注意を受けたり、病院内の窓口に通報されかねません。それ以前に、院内で噂が広まるのは早い。特に権限や責任があるほど、院内では偉い以前に『針のむしろに立つ』感覚を持つ医師が増えているのではないでしょうか」

社会的なステータスの高さが、婚活市場の人気と結びつけられやすい「医師」。しかしハラスメントに敏感な今の社会では、その地位や名声が婚活における「足かせ」ともなってしまうようだ。

<取材・文・撮影/松岡瑛理>

【松岡瑛理】
一橋大学大学院社会学研究科修了後、『サンデー毎日』『週刊朝日』などの記者を経て、24年6月より『SPA!』編集部で編集・ライター。 Xアカウント: @osomatu_san
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