ゴミ捨て、路駐…文化の違いに頭を抱える地元住民
美浜区に増える中国人。一方、以前からここに住む日本人の住民は、こうして出来上がった「新チャイナタウン」を、どう受け止めているのか。美浜区高洲に50年近く住み、地元自治会で30年以上も役員を務めてきた女性(78)に話を聞くことができた。
寿司屋を開いていた夫は既に亡くなり、空き店舗は知人に貸し出しているという。その店舗がある通り沿いにも「ガチ中華」の店や「中華総菜店」など10軒ほどの中国系店舗が立ち並ぶようになり、やはり戸惑いは隠せないようだ。
――この周辺に、中国系のお店が増えているようですが、どう思いますか。
「他の区画だと規制で商売ができないため、この一画に中国系のお店が集中しています。店舗を借りるのではなく、建物ごと中国の方が買うのはいいのですが、日本の自治会員と協調性がなくて非常に困っているところです。でも、買うなともいえないしね……」
――具体的に何が一番お困りですか。
「ゴミの捨て方が一番困っています。ゴミは夜には出さず、朝8時前までに出すルールですが、守っていただけません。中国の方はここには住んでいないから、わざわざゴミを捨てるためだけに、朝、店に来ることはできないと言って守らないのです。困ってしまい、自治会は行政に対し、『指導をしてほしい』と要請していますが、対応するのは難しいようです」
――他には何かありますか。
「中国のお店の周辺には路上駐車が多くて困っています。お客が買い物をするため、10分から30分程度、お店の近くに車を停めて離れるのですが、家の前に駐車される住民からすると、これでは車の出入りができない。そういったトラブルはたくさんあります」
――中国人の店が増えてきたのはいつ頃からですか。
「まだ10年も経たないくらいですかね。この区画はもともと、館山自動車道や国鉄総武線の複々線化などの代替え地として、50年前にいろんなところから引っ越してきた人が多かったのです。当時は私が20代で一番若かったので、今では私より年上の人たちは、ほとんど亡くなりました。そのため、この10年くらいで土地や建物の売買が頻繁に始まったのです。
ただ不動産屋に対して、『中国の人には売りたくない』と、意思表示をしている人も多いのですが、それでもどういうわけか、売却相手が日本人だと思っていざ契約し、売買が成立すると、実際に店舗を使うのが中国人だったりする話が多くて、みなさん不信感を抱いています」
「悪い人ばかりではないのは承知だが…」こぼした赤裸々な本音
――中国人の勢いを感じますか。
「何が一番不思議かって、中国人がなぜこうも店舗をポンポンと買い、店を開くことができるのかということです。資金源はどこなのかと不思議に思います。同時に、店舗募集の張り紙をしている店も結構あるけど、3カ月から6カ月の周期ですぐに店を閉じるケースもよく見ます。新しくお店を出すというと、県から100万円単位で助成金が出るので、それを狙っているのではないか、という人もいるほどです」
――街にとって良い点もありますか。
「うちの近所に暮らす中国人は引っ越してきて十数年も経つけど、この人たちはすごくしっかりしていて、自治会の仕事にも協力的でありがたいです。もちろん、中国の方が悪い人ばかりではないというのは承知していますけど。本音はやはり、なるべく関わらないようにしたい。今は知人に貸している空き店舗も、今年いっぱいで閉店する予定ですが、中国人が店を借りたいと言ってきても、貸すつもりはありません」
――美浜区では中国人の住民は今、とても増えてきていますね。
「私はここで民生委員も15年間務めてきたので、事情はよく分かります。ここ(高洲)から、少し離れた高浜の小学校は、既に中国人をはじめとした外国人の児童が全体の5割を超えると聞きます。高浜は市営や県営団地が多い。日本人の家庭が、こういう環境では子供を育てにくいと言って引っ越して家が空くと、そこにすぐに中国人が入ります。市や県としては家賃を納めてくれれば、誰でもいいという感じなのでしょうが、果たしてどうでしょうか」
日本では少子高齢化が急速に進んだ結果、以前はどこにでもあった商店街は次々と廃れていった。だが今、在留中国人が急増する美浜区のような地域の商店街には、いつしか「ガチ中華」など中国系の店が多く集まるようになり、新チャイナタウンの中核を形成する。
こうしたケースはこの先、日本の全国各地の商店街でも増えていく可能性がある。
日本経済新聞取材班
