「おばあちゃんらしいことの一つや二つくらいしてやりたい…」初孫が生まれた67歳女性、家族のために生きてきたのに老後はみじめ。年金支給日、通帳を見て溜息【FPが解説】

「おばあちゃんらしいことの一つや二つくらいしてやりたい…」初孫が生まれた67歳女性、家族のために生きてきたのに老後はみじめ。年金支給日、通帳を見て溜息【FPが解説】

「いまさら遅い」と思う前に…67歳からでもできる現実的な見直し

和子さんのようなケースで大切なのは、「もう手遅れだ」と諦めてしまわないことです。魔法のように状況が一変する方法はありませんが、一度きちんと確認してみる価値のあることは、いくつもあります。

たとえば、夫婦それぞれの年金が、どこから・いくら支給されているのか、正確に把握しているでしょうか。特に多いのが、「だいたいこのくらいもらっているはず」という曖昧な感覚のまま、生活を続けてしまっているケースです。数字を正面から見るのは勇気が要りますが、見ないまま時間が過ぎるほうが、実はリスクが大きいのです。

和子さんは最近、夫と一緒に家計の整理を始めました。年金や貯蓄を見直すなかで、「家の中も一度整理しておこう」と思い立ったのです。もしものとき、子どもたちが困らないように──そんな気持ちからでした。

押し入れやタンスを整理していると、小さな桐の箱が出てきました。中に入っていたのは、20年以上前に亡くなった母が遺してくれた記念金貨。母が元気だったころ、「いつか役に立つときが来るから」といって、和子さんに託してくれたものでした。当時の評価額は50万円ほどだったと記憶しています。

「そういえば、お母さんがくれたものね……」

タンスの引き出しの奥にしまい込んだまま、すっかり忘れていました。試しに価値を調べてみると、現在では400万円を超える評価額になっていることがわかりました。思わぬ発見に、一瞬、気持ちが明るくなります。 

「これがあれば、孫のお祝いくらいは……」

しかし、和子さんはすぐに考え直しました。これは、母が残してくれた最後の贈り物です。「いつか役に立つときが来る」という言葉を思い出すと、いますぐ使ってしまうのは違う気がする──。

それに、この金貨を換金してしまえば、本当になにもかも使い切ってしまう気がする。もしものときのために、取っておいたほうがいいのではないか。 

「持っていても、知らなければ意味がない。でも、知ったからといって、すぐに使ってしまうのも違う気がするのよね」 

“本当に必要なとき”が訪れるまで

老後の安心は、新しい対策を始めることだけではありません。すでにある資産を把握していないこと自体が、不安を大きくしている場合も少なくありません。一方で、「あるから使う」ではなく、「なんのために、いつ使うか」を考えておくことも大切なのかもしれません。

 和子さんはいいます。

「全部を我慢する老後じゃなくて、できる範囲で“おばあちゃんらしいこと”ができたら、それでいいのよね。この金貨は、お母さんがいっていた“本当に必要なとき”まで取っておこうと思うの」 

初孫の誕生をきっかけに抱いた違和感。それは、これからの老後を考え直すためのサインなのかもしれません。 

あなたの通帳や、家の中に眠っているものは、いまどうなっていますか。そして、それを「いつ、なんのために使うか」を、一度考えてみる──それだけでも、見える景色は変わるかもしれません。

三原 由紀

合同会社エミタメ

代表

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