◆セクシー女優にならない理由

天宮:芸能や水商売だけの仕事も逆に嫌なんです。でも、堅気というか、普通の仕事だけでもつまらないんです(笑)。両立しているのが精神的にも経済的にも安定すると思っているんです。芸能や水商売だと一気にお金をもらう機会もあるし、普通の仕事だと毎月決まった給料ももらえるし、どっちが優れているとか、どっちがダメとかもなくて、私の中では両方いいところがあるんです。現在は芸能と水商売だけでも安定しているし、向いてもいるから、いまのところは芸能と水商売だけでやってます。
――芸能と水商売、普通の仕事を両立してないと不安だというのは、どうしてですか?
天宮:親も連絡が取れないし、彼氏がいるわけでもないし、いざというときに頼れるところがないんですよ。たとえ彼氏がいたとしても全てを委ねられるわけでもないじゃないですか。自分で自分の面倒を見なきゃっていう気持ちが強いんです。
――だからといって芸能や水商売ではなく、一般企業の正社員も不安ですか?
天宮:東京でいっぱい働いたとしても、女の子で無資格で正社員だと、20万円から25万円ぐらいまでしか給料がもらえない。しかも、拘束時間が長い割にそれぐらいの給料だと、趣味や美容にお金が回らないんです。楽しんで生きていくためには、水商売も必要かなっていうのはありますね。そんなに莫大なお金は必要ないけど、プラスアルファでちょっと欲しいぐらいの欲はあります。
――出世や結婚の場面で、いまだに男女の格差はありますからね。
天宮:女性ならではの問題かもしれないです。
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天宮みすずさんの語りから浮かび上がるのは、過去の壮絶さそのものではない。それをすでに引き受け切った人の、揺るがない視線である。
家族にも組織にも寄りかからず、自分で稼ぎ、選び、線を引いてきた経験は、彼女の中で明確な判断基準として確立されているのだ。
セクシー女優にならないという選択も、裁判まで起こした行動も、すべては「消費され方を自分で決める」という一貫した意思の表れだ。裸を出さずにエロを引き受け、アイドルであり、一般人でもあり続けるという立ち位置は、すでに代替のきかないものになっている。
その存在は今後、さらに希少性を増し、ジャンルや肩書きを超えて静かに存在感を強めていくことになるだろう。
天宮みすず(X:@misuzugakuen1)
<取材・文・撮影/神楽坂文人(X:@kagurazakabunji)>
―[天宮みすず]―
【神楽坂文人】
世界一セクシー女優を取材しているカメラマン、ライター、インタビュアー。元成人誌編集者のため、最後の砦として活躍中。年間イベント取材数300本超え! 年間インタビュー数200本超え! バイクで都内を駆け巡り1日で複数の仕事を受けている。X(旧Twitter):@kagurazakabunji

