3つの「ズレ」が重なり、上限額を押し下げていた
なぜ、シミュレーションでは「17万6,000円」と表示された上限が、実際には「13万円台」まで下がってしまったのでしょうか。
原因を分解してみると、Aさんの家庭ならではの事情と、多くの人が陥りがちな「見込み違い」が浮かび上がってきました。
1. 障害者控除の適用(入力漏れ)
Aさんの2人の子どもは発達の遅れがあり、昨年、精神障害者健康福祉手帳(障害者手帳)を取得していました。手帳があると、税制上の「障害者控除」が適用されます。
Aさんの子どもの場合は「一般の障害者」に該当し、住民税の計算上、1人あたり26万円の所得控除がつきます。2人分で52万円。これだけ課税される所得が減ります。
年末調整の障害者控除の欄には記入したものの、ふるさと納税のシミュレーションの際はそのことがすっぽり抜けていたのです。
2. iDeCoの開始(入力漏れ)
さらにAさんは、老後資金のためにiDeCo(個人型確定拠出年金)を始めていました。
勤務先に企業型確定拠出年金がなかったため、Aさんの拠出限度額は月2万3,000円。満額を掛けていたので、年額27万6,000円が全額所得控除になります。
こちらも簡易型のシミュレーションで入力が漏れていました。
3. 年収の「見込み違い」
ここが最大の盲点です。
Aさんは「今年も1,000万円を超える」と見込んでいました。しかし、働き方改革の影響を受けたことで例年に比べて残業が減り、実際の年収は960万円で着地していました。
「40万円くらいの差なら誤差では?」と思いがちですが、ふるさと納税の計算においては致命傷になります。
3つのミスが重なったふるさと納税の計算結果
ふるさと納税の上限額(特例分)は、ざっくりいうと「住民税の所得割額(税金のベース)の約2割」です。
・障害者控除(▲52万円)・iDeCo(▲27万6,000円)
・年収ダウン(▲40万円)
給与所得控除などの計算もあるため厳密には一致しませんが、シミュレーションした条件(年収1,000万円・控除なし)に比べ、ざっくり「100万円超」も税のベースが小さくなるイメージです。
その結果、本来の上限額は17万6,000円ではなく、約13万円前後まで減少。 Aさんはその事実に気づかず17万円を寄付してしまったため、超過した約4万円分は「自己負担2,000円で済む枠」から外れ、自己負担が大きく増える結果になってしまったのです。
