
「部屋を心地よく、整える」。この一冊では、18軒の狭い家、古い家を紹介しました。さまざまな住まいを見つめるうちに、では自分はどんな暮らし向きで日々を過ごしているのだろう、と自然と考えるようになりました。
広島にある私のセカンドハウスは、両親から譲り受けた、築60年の日本家屋を3年前にリノベーションしたものです。外観はできるだけそのままに、室内は壁や間仕切りを取り払って、空間を大きくつくり直しました。2階の床も一部撤去し、ロフトを設け、本を収納する棚を壁一面に造り付けています。その棚には、東京で少しずつ買い集めてきた書籍や文庫本、漫画を運び込み、いまもゆっくりと“お引っ越し”させている最中です。空いていた棚が少しずつ埋まっていく様子を眺めるのは、これからの楽しみのひとつでもあります。
年末年始をこの家で過ごし、あらためていいなと思ったのは、庭の景色が日常の延長にあることでした。大きな紅葉の木が2本あり、秋には真っ赤に染まりますが、今年の年始には初雪をまとい、庭は一面真っ白に。窓の向こうの景色が変わるだけで、部屋の空気まで整っていくように感じました。心地よい暮らしとは、何を足すかではなく、時間とともに何が重なっていくか。そのことを、この特集を通してあらためて実感しています。(編集K)

COZY ROOMS / 部屋を心地よく、整える。&Premium No. 147
部屋を「整える」と聞いて、何を想像しますか。この言葉には本来「望ましい状態にする」という意味が含まれています。もちろん「望ましい状態」は人それぞれ。整理整頓された住まいが心地よい人もいれば、たくさんの好きなものに囲まれることを好む人もいます。40㎡の狭い部屋でのふたり暮らし、10坪の一戸建て、築100年の町屋リノベーション、10年かけてDIY改装した古民家……。小さな部屋、古い家だからこそ楽しく快適に。今号は、心地よい住まいのヒントが詰まった18組の実例集に加え、光と影、香り、植物のしつらえなどを通して、豊かな暮らしを追求する人々の哲学を探ります。部屋の整え方にたったひとつの正解はありません。大切なのは、自分だけの心地よさの基準を見つけることなのです。
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