
日本では季節の変化を敏感に感じ取り、年中行事や習わしに添った植物を暮らしに取り入れてきました。
「二十四節気の花あしらい」では難しいルールにとらわれず、気軽に季節を感じられる花を楽しむテクニックを、第一園芸のトップデザイナー・新井光史がご紹介いたします。
2026年1月20日から二十四節気は大寒に
小寒から続いてきた冷え込みがこの時季に極まり、一年で最も寒さが厳しい節気とされるのが「大寒(だいかん)」です。
古くから大寒は、寒の水を汲んだり、味噌や酒を仕込んだりと、季節の力を暮らしに生かす節目として大切にされてきました。
また、二十四節気、24番目の節気でもあり、暦の上でも区切りのときです。
この時季にご紹介するのは、日本を代表する花でもある「菊/マム」。
張りのある花びらと整った輪郭をもつ菊は、古来よりさまざまな節目に欠かせない花として親しまれてきました。
近年では「マム」とも呼ばれ、姿や色がより豊富になり、従来の菊のイメージとは異なる花も増えています。
古くは邪気を払う花として、現代ではモダンな花として注目される菊を主役に、大寒の季節感を映す花あしらいをご紹介します。

凛とした姿を活かす
「クチュールブラッシュ」という、花弁の表がワインレッド、裏がベージュの大輪のマムを、菊炭(きくずみ)に挿しました(このようなモダンな花は「マム」と呼ばれることが多いタイプです)。
華やかで見ごたえのある花は、一輪の美しさをそのまま生かして生けてみましょう。
花留めとして使った菊炭は、切り口に放射状の割れ目が入り、その模様が菊に似ていることから名付けられた、主に茶道で使われる炭です。
一見しただけではわかりにくいものですが、実は菊のイメージが掛け合わされた、遊び心のあるあしらいになっています。
菊炭は保水をしないため、このような生け方をする際は、事前にしっかり水揚げをしておきましょう。
菊は水持ちがよいので、半日程度であれば美しい姿を楽しめます。

松と組み合わせて
菊も松も、古来から縁起ものとして日本の行事に欠かせない植物です。
まもなく迎える、二十四節気の新年ともいえる「立春」を祝う、こんな花あしらいはいかがでしょうか。
「大王松(だいおうしょう)」の長い葉を摘み取り束ね、一輪の菊を添えました。
使用した花は、雅な名前を持つ「古都のしぐれ」。
飾り方はとてもシンプルで、経木(きょうぎ)を巻き付けて松を束ね、小さな一輪をそっと挿すだけです。
松と菊がもつ清らかな印象が際立ち、暮らしの句読点になるようなひとときに寄り添います。

菊は一輪挿しにもよく似合いますが、松葉を添えることで、思いがけない楽しさが生まれます。
「古都のしぐれ」を生けたところに5本の松葉を組み合わせると、星のような形が現れました。
シンプルな服にアクセサリーを添えるような感覚で楽しめる、ささやかで軽やかな花あしらいです。

