“○○芸人”は、すでに出尽くしたようにも思っていたところに、ニューカマーが現れた。車いすをネタにする漫才コンビ「爆走マシン」である。
ボケの車太郎さんは、国の指定難病である先天性の骨形成不全症により、車いすで生活をする人物。もちろん一つの”個性”でもあるが、笑いに昇華するには、いささか誤解を生みやすい領域でもあるだろう。
率直に本人たちのスタンスが知りたい。車太郎さんにくわえ、ツッコミの坂井宣大さんを直撃した。

◆M-1準々決勝進出。地獄から掴んだ快進撃
ーー2025年は、車いすを笑いにすることが実を結び始めたのではないですか? M-1の成績でいうと、2023年が2回戦敗退、2024年は1回戦敗退でしたが、2025年は準々決勝まで進出。手応えを感じましたか?車太郎:前回までとは違いましたね。特に昨年は1回戦で2度落ちて、地獄のような気持ちになったので、準々決勝まで行けたのは嬉しかったです。
坂井宣大:普段のライブではウケていても、M-1ではなかなか受からなくて辛かったんですが、今年の2回戦は人生で1番くらいウケましたね。2回戦なのにトロフィーが出てくるかと思いましたもん。
ーー何が変わったんでしょうか?
坂井宣大:もともと、車太郎が車いすに関する自虐を言って、僕が戸惑うみたいなネタをやっていました。だけど、お客さんも引いてしまうことが多かったんですよ。今は逆に、「車いすのお前にやれるか!!」みたいに僕が振り切って突っ込むようにしています。下手したら傷つけるんじゃないかくらいの勢いで。
車太郎:実は、そのスタイルで2024年もやっていて。落ちてはいるんですけど、続けてきたことで、僕らの息も合ってきているのかなとは思います。
◆ラルクか、とんねるずか。消去法で選んだ道
ーー芸人を目指したきっかけはなんですか?「ハンディキャップを武器にして芸人に……」といったストーリーを想像してしまうのですが……。車太郎:申し訳ないんですが、そんなことは全くないんです。24歳まで大学に通っていたんですが、卒業ができないことも決まって。それでもやりたいことが見つからなくてフラフラしていました。そんな時にふと「あれ? 僕の人生ヤバいな」と思って。
ーーヤバいと思ったけど、堅実な道に向かおうとはしなかったんですね(笑)。
車太郎:そうですね(笑)。僕が子どもの頃から憧れていたのは、とんねるずさんとL’Arc〜en〜Cielだったんですが、ラルクみたいな曲を作れてラルクみたいな歌声が出せても、誰もキャーキャー言ってくれないだろうし……。
坂井宣大:車太郎のラルク、おもろいけどな(笑)。
車太郎:なので、とんねるずを目指そうと。でも、バラエティ番組で縦横無尽に暴れる姿が面白いと思っていたから、ネタを作ることなどまったく考えないまま、養成所に入りました。
ーーなぜ太田プロにしたんですか?
車太郎:太田プロ以外に受けた4社は全部断られました。はっきり言われてはいませんが、車いすがネックになったとは感じましたね。ちなみに太田プロだけ、顔写真のみの書類選考だったんですよ。だから、車いすであることは隠して入りました。入学式ではざわついていましたけどね(笑)。

