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「事故物件」ではないが…夫婦喧嘩で妻が頭を強打して病院で死亡。オーナーが〈告知〉を決めたワケ【事故物件の「オバケ調査員」が解説】

「事故物件」ではないが…夫婦喧嘩で妻が頭を強打して病院で死亡。オーナーが〈告知〉を決めたワケ【事故物件の「オバケ調査員」が解説】

共用部分での事件や事故は告知義務があるのか

自殺、殺人、腐敗などが発生し特殊清掃を実施した孤独死が“室内”で発生した場合、その部屋には心理的瑕疵が発生、告知義務も発生することから事故物件となります。

では、もしそれらがマンションやアパートの共用部分で発生した場合はどうなるのでしょうか。これも不動産物件を運用されているオーナーの大きな悩みのタネとなっている内容です。

例えば飛び降り自殺が発生したマンションがあったとします。屋上から飛び、敷地内の土地に着地して亡くなってしまいました。しかしこれは室内の出来事ではないため、これから物件に住まおうとしている入居希望者に知らせないという判断は可能なのでしょうか。

また同じように、アパートの共用部分で殺人事件が発生したとします。しかしこれも室内で発生したわけではない、という理由から入居希望者に知らせなかったとしたら……。自身がその入居者だったとしたらどう思われますか? もし本当に飛び降りや殺人が物件の共用部分にて発生しており、しかもそれについて何も知らされずに入居し、生活が始まった後にその事実を知ることになったとしたら……。恐らく多くの方は怒気を孕んだ声で「なぜ入居前にそのような大事なことを教えてくれなかったんだ!」と言われるのではないでしょうか。

当然ですが、共用部分でも自殺や殺人といった人の亡くなったことに起因する心理的瑕疵は発生し、そして告知の必要もあります。なぜなら、共用部分で発生した事件や事故に関しては、室内で発生した場合と異なる“告知をするべき範囲”があるためです。

これは最悪のケースですが【共用部分にて心理的瑕疵が発生するような事件や事故が発生した場合、それ以降に訪れる物件への入居希望者全員にその告知の必要が発生する】可能性があるのです。

実際に私が経験した案件で、入居者全員に告知をすることになったケースとしては、飛び降り自殺のあった、あるマンションの事例があります。マンションの屋上から身を投げたその方が着地したのはマンションの出入り口、エントランスのすぐ近くでした。マンションから出かけるとき、また帰宅する際にどうしても目に入ってしまう部分です。入居者の皆さんがそこを通る度にその事件のことを思い出すかもしれない。これから住む入居者に関しても毎日通るその場所で起きた事件を言わないわけにはいかない。そう判断したオーナーは事件以降、その建物の入居希望者全員にその旨を告知することを決めたのです。

このように心理的瑕疵が発生する場所によって誰に告知をしなければならないのか、その範囲が変わります。場合によっては室内で事故が発生したときよりも大きな損害につながる場合がある。それは見過ごすことのできない事実です。

児玉和俊

宅地建物取引士
賃貸不動産経営管理士
相続支援コンサルタント

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