◆“おじさんは叩いてOK”の「おじさん差別」が蔓延
セクシズムとは性別にもとづく差別や偏見、エイジズムとは年齢にもとづく差別や偏見を表した言葉です。たしかに水野さんが不快感を抱いたり傷心したりしていたのであれば、同僚たちの言動はジェンダーハラスメントやエイジハラスメントと言えるのかもしれません。
いずれにしてもおぢアタックは迷惑行為認定されているのに、若い女性から中年男性に恋愛的アプローチをする「逆おぢアタック」は応援されるという現象に、水野さんは強く違和感を抱いた模様。
そもそも日本では平成時代から中年男性軽視の風潮があり、“おじさんは叩いてOK”という暗黙の了解が蔓延しているという問題がありました。いわゆる「おじさん差別」です。
ただ、おぢアタックに関しては、中年男性にしつこく口説かれて心底迷惑している若い女性もいるのでしょうし、なかにはそれが原因でメンタル不調に陥っている若い女性もいるかもしれません。
ボディタッチや性的発言といったセクハラに発展してしまっているケースや、社内の男性上司・女性部下であればパワハラに該当するようなケースもあるのでしょう。
実際に、年上の中年男性に口説かれてつらい思いをしている若い女性がたくさんいるからこそ、おぢアタックという造語が生まれ、知れ渡るようになったのは想像に難くありません。
◆思考停止して迷惑行為だと決めつけないでほしい
一方で41歳の水野さんと29歳の彼女のような事例があるのも事実。水野さんのケースは年下女性からアプローチしてくれたから付き合えたものの、そうでなければおぢアタックという概念や言葉のせいで、両想いの男女が付き合えないという残念な結末を迎えていた可能性も充分あるわけです。
おぢアタックという言葉が生まれた理由を考えれば、中年男性から口説かれ精神的苦痛を味わってきた若い女性が多いという背景があることは透けて見えます。
しかしおぢアタックという言葉は、セクシズムからのジェンダーハラスメントや、エイジズムからのエイジハラスメントの問題をはらんでいるのも見逃せません。
「正直、“35歳以上の男性が8歳以上年下の女性を口説くこと”を、安直に迷惑行為だと認定するのはやめてほしい。周囲の人たちは、思考停止でおぢアタックという言葉でひとくくりにせずに、個別にその2人の関係性をきちんと見たうえで、それぞれ個々のケースとして判断してもらいたいですね」(水野さん)
さまざまな問題をはらんだ「おぢアタック」という概念。今年もその是非について議論をしていく必要があるのかもしれません。
<文/堺屋大地>
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【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。本連載意外に『SmartFLASH』(光文社)でドラマコラム連載、『コクハク』(日刊現代)で芸能コラム連載。そのほか『文春オンライン』(文藝春秋)、『現代ビジネス』(講談社)、『集英社オンライン』(集英社)、『週刊女性PRIME』(主婦と生活社)、『女子SPA!』(扶桑社)などにコラム寄稿。LINE公式のチャット相談サービスにて、計1万件以上の恋愛相談を受けている。公式SNS(X)は@SakaiyaDaichi

