
クリームやオイルを塗っても、なかなか消えないかかとのガサガサやひび割れ。更年期のかかとの乾燥症状は、外側からの保湿ケアだけでは太刀打ちできません。そのカギとなるのは「内側からのケア」と「腎経(じんけい)マッサージ」。東洋医学の視点で、原因とおすすめの養生法をご紹介します。
かかとの乾燥症状、更年期より前と更年期世代とでは原因が違う!?

ストッキングや靴下を履くときにかかとのささくれが引っかかったり、歩くとかかとのひび割れが痛んだりと、世代を問わず冬に多くなるかかとの乾燥症状。しかし実は、更年期より前と更年期世代とでは、その原因が異なることを知っていますか?
更年期より前の場合、かかとが乾燥する主な原因は外気の寒さや乾燥、摩擦などの外的要因です。一方更年期世代の場合は、そうした外的要因に体の内側からの内的要因も加わる点が大きな特徴で、両者には症状などに次のような違いがあります。
◉更年期より前
・表面がカサカサする、皮がむける、ひび割れは比較的浅い
・冬だけの限定的な症状で、春になると自然治癒する場合が多い
・基本的には外側からの保湿ケアで対処できる
◉更年期世代
・乾燥に加えて角質肥厚(角化)が著しく、かかとの皮膚が厚くなる
・ひび割れは深い亀裂にもなりやすく、歩くと出血や痛みが生じることもある
・症状が最も強く現れるのは冬だが、慢性化しやすく通年で症状が見られることも多い
・外側からの保湿ケアだけでは十分に対処できず、角質の柔軟化ケアや内側からのケアも必要に
更年期世代の場合、かかとの乾燥症状をケアするには内的要因にもアプローチすることが重要であり、その内的要因とは更年期のほかの不調と同じように五臓の「腎(じん)」の力の低下が大きく関わっていると東洋医学では考えられています。腎の力とは、発育、成長、生殖などのもととなる生命力のことですが、更年期になるとその量が低下してさまざまな不調が現れやすくなるのです。
ではなぜ、腎の力の低下がかかとに影響するのかというと、かかとには腎につながる「経絡(けいらく=エネルギーの通り道)」が通っているため。腎につながる経絡は「腎経(じんけい)」と呼ばれますが、かかとにはこの腎経が絡み合うように張りめぐらされているため、腎の力(腎の気)が集まりやすい場所となっています。そして同時に、かかとは立ったり歩いたりするたびに体重がかかるため、腎の力を多く消費する場所でもあります。つまり、腎の力を多く必要とする場所だからこそ、腎の力が低下するとその影響が現れやすいというわけです。
かかとの症状別にとり入れる、腎の力を補う薬膳食材

腎の力には大きく、体全体の熱源となる「腎陽(じんよう)」と、体全体の水分源となる「腎陰(じんいん)」、腎陽や腎陰のもとであり血(けつ≒血液)のもとでもある「腎精(じんせい)」があります。腎の力が低下すると、こうした腎陽や腎陰、腎精などが不足しやすくなり、かかとの乾燥症状にも影響をおよぼすことに。では具体的にどのようなかかとの症状を招くのかを、東洋医学の視点で説明しましょう。
【タイプA】皮膚が厚くなる、硬くなる、黄色っぽく変色する、深いひび割れ
腎陽が不足すると体内の熱が不足して血行が悪くなるため、皮膚の新陳代謝が低下して古い角質がたまりやすくなります。かかとの皮膚も厚くなり、カチカチに硬くなって黄色っぽく変色することも。深いひび割れも起こりやすくなります。さらに冬になると、寒さによって血管が収縮して血行不良が悪化しやすい状態に。
【タイプB】かさつき、粉を吹く、細かいひび割れ
腎陰や腎精が不足すると、体内の水分や血が不足し、心臓から最も遠い場所である足裏に潤いや栄養が行き届かなくなる状態に。その影響でかかとの皮膚表面が白い粉を吹く、細かいひび割れがたくさんできるなどの不調が見られるようになり、ストッキングや靴下が引っかかりやすくなります。
【タイプC】血色が悪い(紫っぽい)、氷のように冷たい
腎陽の不足がひどくなると体が芯から冷え、かかとの血流が極端に悪くなってこのような症状を招きやすくなります。お風呂に入ってもなかなか温まらないほど、かかとが冷え切っている場合もあります。
こうした更年期特有のかかとの乾燥症状は、外側からの保湿ケアに加えて、内側から腎の力を補うケアも行うことが大切です。タイプAやCによく当てはまる場合は腎陽を補うえび、羊肉、くるみ、にら、シナモンなど、タイプBによく当てはまる場合は腎陰を補う黒豆、黒ごま、牡蠣、ほたてなどや、腎精を補う鶏肉、やまいも、黒ごま、くるみ、くこの実などをよくとるといいでしょう。

