「家は移り変わるもの。ピカピカじゃなくなったということは、この空間で暮らしが営まれたということです」。最新号「部屋を心地よく、整える」を担当した編集者による編集後記。

「家は移り変わるもの。ピカピカじゃなくなったということは、この空間で暮らしが営まれたということです」。最新号「部屋を心地よく、整える」を担当した編集者による編集後記。


我が家は外壁も玄関ドアも木造。日当たりが最高な分、木材の色はどんどん褪せ、汚れも蓄積していきます。ピカピカのときがよかったとか、今がかっこいいとか思うこともありますが、どんどん変わっていくものですから、その時々を楽しむのみ。

編集後記では何度か触れていますが、僕は2021年末に建てた一軒家に暮らしています。まだ築5年目ではありますが、それなりに経年変化してきました。新築時のピカピカな空間を一日でも長く維持しようと努めてきたものの、特に子が産まれてからはそうはいかず。掃除が行き届かないだけでなく、無垢床にはよだれのシミができ、壁には押し車をぶつけた跡も。気を抜けばおもちゃが散乱し、収納はパンパン。「ああ、また乱れてる……」と逐一がっかりする日々です。

昨年末の大掃除、そうしたシミや汚れ、跡、乱れをできるだけ無くそうと意気込んでいたわけですが、いざ床を拭こうとしたら、奔放で愛らしい息子の姿が思い浮かんで「そのままでええか」と思い直しました。もう少し大きくなった子どもと「これきみがつけたシミだよ」と、一緒に見てみたくなったのです。ちょっとキャパオーバーな収納も、とりあえず不快じゃない程度に整理するのみに。何を残し、何を手放すべきか、もう少し考えてみることにしました。

家は移り変わるもの。ピカピカじゃなくなったということは、この空間で暮らしが営まれたということです。今はちょっと乱れ気味ですけどOKということにして、少しはみ出してしまっている思い出は、ゆっくり整えていけばいい。

家では「常に美しく、きちんと整理整頓を」と思ってきましたが、その時々の心地よさがあると知りました。「整える」って何だろう、と考える機会でした。

(担当編集/松崎彬人)

COZY ROOMS / 部屋を心地よく、整える。&Premium No. 147

部屋を「整える」と聞いて、何を想像しますか。この言葉には本来「望ましい状態にする」という意味が含まれています。もちろん「望ましい状態」は人それぞれ。整理整頓された住まいが心地よい人もいれば、たくさんの好きなものに囲まれることを好む人もいます。40㎡の狭い部屋でのふたり暮らし、10坪の一戸建て、築100年の町屋リノベーション、10年かけてDIY改装した古民家……。小さな部屋、古い家だからこそ楽しく快適に。今号は、心地よい住まいのヒントが詰まった18組の実例集に加え、光と影、香り、植物のしつらえなどを通して、豊かな暮らしを追求する人々の哲学を探ります。部屋の整え方にたったひとつの正解はありません。大切なのは、自分だけの心地よさの基準を見つけることなのです。

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配信元: & Premium.jp

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