◆「政権批判を口にしない」と決める日本人が急増

「保守色の強い南部のテキサス州で働く知人の日本人ビジネスマンは、仕事仲間のアメリカ人のホームパーティーに招かれた際にトランプ政権について意見を求められたものの、警戒して口をつぐんだと話していました。移民の出入国は国家が完全にコントロールしています。もしどこかから移民・税関捜査局(ICE)に情報が洩れれば、今後、アメリカへの入国も叶わなくなってしまう可能性が高い。投票権以外は米国民とほぼ同じ扱いをされるはずの永住権(グリーンカード)所持者でさえ、『次は自分たちの番かもしれない』と身構えています」
◆LGBTQや人種をテーマにした書籍が「禁書」扱いに

編集者やライターらで組織し、表現の自由の保護に国内外で取り組む非営利団体「ペン・アメリカ」が’25年10月に発表した報告書によれば、’24年7月〜’25年6月にかけてアメリカの学校で禁書となった事例は6870件にのぼり、うち3752タイトルの書籍が撤去された。
「禁書」は、23州の87公立学校区で確認され、フロリダ州が2304件で3年連続の1位。次いでテキサス州が1781件、テネシー州が1622件と、保守色の強い3州が、全体の83%以上を占めた。「ペン・アメリカ」は「禁書がアメリカ社会のニューノーマルになっている」として警戒を強めている。鈴木さんは言う。
「アメリカでは『禁書』の動きは以前からありましたが、トランプ大統領が政治の表舞台に現れてからさらに目立つようになりました。’21年以降は、州レベルで書籍の規制を可能とする法律が次々に成立しています。流れは様々で、保守系団体が学校や公立図書館に直接クレームを入れ、校長や館長がそれに従って本を撤去するケースもあれば、州法などに基づき、保守系団体が行政に異議申し立てを行った上で撤去されるケースもあります。申し立てが受理されると審査結果が出る前に撤去されるため、事実上、審議は行われずに撤去がそのまま放置されたり、トラブルを恐れて校長や館長が自主的に撤去してしまったりするケースもあるようです」

