過去5年間のSNS履歴の提出、教育現場での禁書…アメリカで進行する言論統制。日本人も他人事とは言い切れない理由

過去5年間のSNS履歴の提出、教育現場での禁書…アメリカで進行する言論統制。日本人も他人事とは言い切れない理由

◆日本にとっても「対岸の火事」ではない

 ‘25年、トランプ政権が大統領選で返り咲き、2期目を迎えて以降は、特に教育現場での禁書が広がっているという。

「代表的な団体として知られるのが、’21年にフロリダ州で設立された保護者団体『Moms for Liberty(自由のためのママたち)』。『学校現場での親の権利の復活』を掲げ、LGBTQの権利や多様性に言及する学校のカリキュラムに反対し、書籍の撤去キャンペーンを展開しています。トランプ政権は『教育の監督権を州政府や保護者に戻す』として教育省の『解体』を進めており、保守色の強い州政府、保守系保護者団体が一体となって『禁書』をアメリカに広めている状態なのです」

 日本では’13年、島根県松江市の教育委員会が『誤解を与える』『描写が過激』などの理由で、原爆の悲惨さを描いた漫画『はだしのゲン』を図書館で自由に閲覧できないようにする措置を市内の小中学校に求めていたことがニュースになった。’23年度には広島県広島市が、『はだしのゲン』を平和教育教材から削除する出来事も起こっている。作品の内容が「誤解を与えるかどうか」「描写が過激かどうか」という判断は、見る者の判断に委ねられており、恣意的な判断で線引きは変わる。アメリカで起こったことは、けして「対岸の火事」としては捉え切れないのだ。

 アメリカでは「表現の自由」は合衆国憲法修正第1条で保障され、「自由」はアメリカ人の魂をなす根幹と言われてきた。しかし、そのアメリカでさえ、市民の自発的な努力なくして「表現の自由」を守ることは難しい状況にある。観光客ですらSNS履歴の提出がいつ義務づけられるかわからない状況下、日本からもトランプ政権の動向に目を向ける必要がある。

【松岡瑛理】
一橋大学大学院社会学研究科修了後、『サンデー毎日』『週刊朝日』などの記者を経て、24年6月より『SPA!』編集部で編集・ライター。 Xアカウント: @osomatu_san
配信元: 日刊SPA!

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