◆戦争は根絶され、代わりにすべて紛争になった
ところが世界大戦の前後で、国際社会の決闘、すなわち戦争を根絶しようとの青臭いアホ臭い理想論が条約化された。その一つが不戦条約。最初は「戦争を根絶しよう」などと空想的平和主義で会議が始まったが、自衛を否定するのは愚かなので、侵攻戦争だけを否定することになった。この条約は無力で、そもそも成立していたかどうかが疑わしい。第二次世界大戦の時に誰も守らなかった。結果、負けたドイツと日本だけが破ったことにされた。
そして第二次大戦後に国際連合憲章が国際法化し、誰も宣戦布告に伴う正式な戦争を行わなくなった。国際法違反になるからである。そして、戦争は根絶された。代わりにすべて紛争になった。
◆現代国際法とモンロー主義の矛盾にどう向き合うか
現代の国際法では、不戦条約の精神に基づき国連憲章が成立したのであり、主権国家平等・国境不可侵の原則・力による現状変更の不可が前提とされる。ついでに、第二次大戦における日本は数々の国際法違反を行った犯罪国家にされた。この現代国際法に照らすと、今回の米国の行動は侵攻であり違法だ。だが、その例外として米国にモンロー主義(中南米は米国の勢力圏)を認めてきた。
この矛盾と、どう向き合うかが大人の態度だ。高市首相、「民主主義を回復する」などと言ってるが、意味をわかっているだろうか。
―[言論ストロングスタイル]―
【倉山 満】
憲政史研究家 1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の『噓だらけの日本中世史』が発売後即重版に。最新作『噓だらけの日本近世史』(扶桑社新書)が2月28日に発売決定

