2025年も賑わうレストランシーンであった。そして2026年、新たな年を迎え、また新しい才能が世に放たれていくことだろう。
2025下半期にオープンした新店の中から、珠玉の5軒をピックアップする。
2025/10/1 OPEN
上質な設えであることがひと目でわかるカウンター席では、シェフの唐澤さんやシェフ パティシエールの平島さんの確かな仕事を眼前に望める
六本木に誕生したフレンチによって、また港区の艶やかさに磨きがかかった
六本木交差点と目と鼻の先ながら、やや落ち着いた雰囲気の一角。
街の景色に溶け込んだ建物の地下へ歩みを進めて扉を開くと……外の空気感とは一線を画する、非日常的なムード漂うダイニングが。
個室は2タイプ。写真の4席の部屋のほか、最大8名まで利用できる「Salon de Lustre」も用意されている
店名はフランス語で「輝かしいシャンデリア」を表す『Lustre(リュストル)』。
その名にふさわしく店内には複数のシャンデリアが輝いている。それらをはじめとしたあらゆる調度品は、スペイン・バレンシアが誇るポーセリンアートブランド「リヤドロ」で統一されているのだから驚かされる。
シェフの唐澤さん。スーシェフ伹馬彰典さんとタッグを組む
本物のラグジュアリーに囲まれた空間でいただけるのは、シェフである唐澤 豪さんが紡ぎ出す、アーティスティックな品々。
丸の内『モナリザ』、銀座『エスキス』『レカン』など名だたる店で経験を積んだ唐澤さんは、昆布や魚醤など日本が誇る旨みの要素も巧みに取り入れる。
スペシャリテの「ズワイガニとアボカドのカネロニ仕立て キャビア添え」。ハーブやレモンが香るズワイガニをアボカドで巻き、トマトソース、わさび菜と卵黄を合わせた緑のソース、サフラン香る黄色いソースを添えて
フランス料理の伝統と日本の食文化との邂逅に魅了されることだろう。
2.野菜の魔術師が手掛ける深沢のカウンターで、美しきひと皿を愛でる
『Pienezza FUKASAWA』@駒沢大学
2025/9/25 OPEN
グレートーンでまとめられたインテリアと抑えた調光が印象的。料理の存在感と厨房の中央に飾られたダイナミックなフラワーアレンジメントとを引き立てる空間となっている
香り、音、味わい、すべてが心地良いオープンカウンターに身を委ねたい
“野菜の魔術師”と謳われる『JINBO MINAMI AOYAMA』のシェフ・神保佳永さんが、この秋、世田谷の深沢に姉妹店をオープンさせた。
世田谷在住の長谷川さん。毎朝、生産者から直接、食材を仕入れているそう
その店、『Pienezza FUKASAWA』では、実は優れた野菜の生産者が近隣に多くいるという地の利を活かして“世田谷野菜”にフォーカスし、地産地消を実現。
イタリアン一筋で、神保さんのもとではスーシェフとして力を蓄えてきた長谷川 泰さんが、伸び伸びと腕を振るっている。
店のスペシャリテ「旬の前菜盛り合わせ」には、世田谷産の新鮮な野菜をふんだんに
自家製の素麺を忍ばせた温かいアミューズに始まり、前菜盛り合わせでは生のまま、焼く、グラタンやスープに仕立てるなど、数十種類の野菜に手をかけて仕上げた品々が並ぶ。さらに2種類のパスタ、選べるセコンドとドルチェまでを味わえるコースが¥8,800とは驚かされる。
選べるドルチェの一番人気は「Pienezza深沢プリン」。チリ原産の鶏のたまごで、青みを帯びた殻と濃厚な味わいが特徴の「アローカナ卵」を使う
ビルの5階、かつ開放的なロケーションだけに、ディナータイムは夜景に包まれたような雰囲気に。高揚する夜を過ごせるはずだ。
3.外苑前の覇者の次なる一手。イタリアンの新店で目覚めるアラカルトという楽しさ
『arca』@表参道
2025/10/27 OPEN
店があるのは、新旧の実力派レストランが点在する、渋谷二丁目エリア。同じビルの階下にはレジェンド的な居酒屋『なるきよ』が
“絶品パスタが15種類以上”は健在!深夜3時まで明かりを灯す大人の隠れ家
ハイクオリティな素材の魅力を活かした料理をアラカルトで、しかも深夜まで楽しめるイタリアンとして圧倒的な人気を誇る外苑前『malca』。
今や近隣に『tens.』『and Svolta』『焼肉もちお』などの系列店を展開する“外苑前の覇者”が、密かな食の激戦区である渋谷二丁目に、新たな店舗を構えた。
インダストリアルな空間の中央で目を引く、円盤状のオブジェは「方舟」という意味の店名に絡めて「羅針盤」をイメージしたものだそう
その名は『arca』。ラテン語で「方舟」を意味するこの店のシェフを任されたのは、オーナーシェフの北野 司さんが「期待の星」と見込む福盛 健さん。
26歳という若さだが、ゲストの視線を一身に集めるオープンキッチンでこれまでに鍛えてきた腕を振るう。
「クロスティーニ やま幸さんの本マグロのタルタル」(¥1,800)は焼き茄子やレフォール、ビーツを合わせて、味わいも彩りも独創的に
『malca』『tens.』のシグネチャーである、仲卸「やま幸」のまぐろのタルタルや「HALキャビア」の冷製カッペリーニは、アレンジを。
塩からセレクトし濃度を調節した『malca』別注のキャビアを惜しげもなく盛る「静岡県春野町産HALキャビア,冷製カッペリーニ」¥9,800。
上質な釜揚げしらすを使い、パクチーを合わせるというひねりを利かせた「淡路島愛丸水産より釜揚げシラス,パクチー,からすみのアーリオ・オーリオ,スパゲッティ」¥3,200
また、25時LOという使い勝手の良さも師匠譲りだが、週末は昼も営業という新たな展開も嬉しい。
4.伝説の予約困難店が赤坂で堂々復活!食通たちの話題をさらう
『ホルモン船 ホールちゃん』@赤坂
2025/10/28 OPEN
赤坂みすじ通りにオープンしたフードホール「kaiwaii akasaka」。横丁感覚で鮨から焼肉まで全14店が軒を連ねる。その2階の一番奥に同店があり、カウンターメインだが、テーブル席も完備し、多様なシーンで活用できる
チャーミングな女将のもてなしに“乗船”希望者が絶えない
この10月、赤坂に誕生した美食のニュースポット「kaiwaii akasaka」。
このフードホールの2階に復活したのが、韓国肉料理の名店『ホルモン船 ホールちゃん』だ。
カウンター越しにサービスする李さんも店主と同じく釜山出身。華やかな笑顔と明るい接客にファンが多い。「牡蠣チヂミ」や「キムチム」などお手製の韓国家庭料理も美味しい
新大久保にある店は『藁火焼き肉 くん炭』と店名を変え、コース主体のスタイルで営業。対してこちらはアラカルトのみ。ご主人の鄭 寿福さんの故郷・釜山の味が満載だ。
「希少部位のカッパ肉や釜山オムク(魚の練り物)を使った釜山おでんをぜひ味わって」とは、チマチョゴリ姿も美しいマダムの李 受燕さん。
牛だしに赤唐辛子を加えたピリ辛のスープに、思いの外肉肉しいカッパ肉がよく合う「カッパ肉鍋」¥1,200。〆は「雑炊」(¥580)か「素麺」(¥380)にできる。2人前からオーダー可
カッパ肉とは、牛の皮と肉の間にあるコラーゲンたっぷりの部位のこと。
韓国ではスグレと呼び、クッパがおなじみだが、同店では鍋などにアレンジして提供。肉とゼラチン質が混じり合う独特の食味を味わえる。
やかん風の鍋も可愛い「釜山おでんの盛り合わせ」¥1,200。オムクは釜山から取り寄せ、牛骨に、昆布やワタリガニなどの海鮮だしを加えたスープが自慢。2人前からオーダー可
また、釜山おでんはオリジナルの出汁が決め手。昆布と野菜のスープに海鮮や牛だしをブレンドしたそれは、飲み干したくなる美味しさ。
「骨付きカルビ」2ピース¥780。
下茹でしたカルビは、ブレンドした3種類の醤油やたっぷりのフルーツで作る30年越しのタレで味つけ。白飯を呼ぶ甘辛味がやみつきになる。
醤油漬けのエビをご飯にのせた「カンジャンセウ丼」¥2,800。醤油ベースに桂皮など7種の漢方薬や柑橘類を加えて作る特製タレが美味。うにやいくらと見事に調和する。要予約
まさに赤坂のリトル・釜山な夜を堪能できる。
5.ますます勢いを増す“やおや”の本店がパワーアップしてカムバック
『焼鳥 やおや 総本店』@池尻大橋
2025/10/1 OPEN
3階の『スナックやおや』は20:00~25:00まで営業。カラオケももちろん完備。2回目以降は、3階のみの利用もOKだそう
焼き鳥に舌鼓を打ち、ほろ酔いで上階へ。愉しく歌えば宴が始まる
2019年、池尻大橋駅の程近くにオープンした『焼鳥やおや』。炭火を使って焼き上げる本格的な焼鳥でありながらフレンドリーな価格と、活気ある店の雰囲気がたちまち話題になった。
破竹の勢いで系列店である池尻大橋『リバーサイドヤオヤ』と、松見坂の『808labo』をオープン。今では、学芸大学や渋谷にも進出し6店舗を構えるまでに。
2023年にこの店舗が火災に見舞われたが、2年の時を経て今年10月に『焼鳥 やおや 総本店』として完全復活!ピカピカの“やおやビル”に生まれ変わった。
1階の席は、手前にある焼き台の正面に位置するミニカウンターと、中央のメインカウンター、そして奥のL字型カウンターに分かれている。
手前から、大葉と柚子胡椒の爽やかな香りを添えた「せせり」、自慢のタレをまとった「ねぎま」、ボリューミーな「つくね」各¥440
伊達鶏、信玄どりなどさまざまな銘柄鶏を取りそろえ、定番の部位から希少部位までカバーする串の味わいはグレードアップ。
その名も「新名物!手羽飯カレー」(¥693)は、ターメリックライスを詰めて揚げてから、炭火で香ばしく炙った手羽先が、バターチキンカレーの上に直立!大胆な盛り付けも楽しい
さらに、炭焼きの肉や野菜をアレンジした独創的な一品料理や〆が並ぶお品書きは、目移り必至だ。
そして、食欲を存分に満たしたあとに目指すべきは、新たに誕生した最上階にあるスナック。池尻の夜が、賑やかに更けていく。
▶このほか:足を踏み入れればそこは香港。皮付きチャーシューや上海蟹、美食家の大人が集う『新楽記』の魅力


