いつまでも輝く女性に ranune
「結構です。もう関わりたくないので、連絡しないで」芸術家の父が築き、母が継いだ数億円。“母の隠し子”は当初、相続を断固拒否も…一変、目の色を変えた〈驚異の取り分〉

「結構です。もう関わりたくないので、連絡しないで」芸術家の父が築き、母が継いだ数億円。“母の隠し子”は当初、相続を断固拒否も…一変、目の色を変えた〈驚異の取り分〉

「遺産なんていらない」という言葉ほど、相続において不確かなものはありません。平穏な家庭だと思っていても、戸籍一つで相続のパワーバランスは一変してしまうのです。日経マネー(編)の書籍『絶対に避けたい!損する相続実例25』(日経BP)より、Bさんの事例とともに、相続税対策の落とし穴とトラブルを避けるためのポイントについて解説します。

母の死後判明した「前夫」と「子ども」の存在

出典:『絶対に避けたい!損する相続実例25』(日経BP)より抜粋 [図表1]相続関係図 出典:『絶対に避けたい!損する相続実例25』(日経BP)より抜粋

相続に備えてBさんは子供を父の養子にしていた。父が亡くなった時、財産は母が一旦相続。その母も亡くなり相続手続きをしようと戸籍を取ったら、母には前夫との間に子供がいることが判明した。

出典:『絶対に避けたい!損する相続実例25』(日経BP)より抜粋 [図表2]相続対策は関係者全員の戸籍を調べよう 出典:『絶対に避けたい!損する相続実例25』(日経BP)より抜粋

大富豪というほどではないが、将来、相続税がかかりそうな規模の資産を持つ人の中にも、何らかの相続対策を考える人は少なくない。首都圏に住む会社員のBさんもその1人だ。

Bさんの父は名の知れた芸術家。父には数億円の金融資産があり、子は自分1人。将来、相続税が発生するのは確実だ。

ある日、相続にも詳しい知人と世間話をしていた時、軽い気持ちで「何か対策をしておいた方がよいでしょうか」と相談してみた。するとその知人から「孫養子くらいしておいたらどうでしょう」というアドバイスを受けた。Bさんの息子を父の養子にすることで法定相続人の数を増やし、相続税の基礎控除額を増やしたらどうかという提案だ。

専門家の間でも評価が分かれる対策だが、このアイデアを父に話すと、かわいい孫を養子にできるなんてとたいそう乗り気な様子。それならよいかとも考え、幼かった一人息子と父、そして母との間で養子縁組の手続きを取った。

父が築いた資産の「3分の1」が「異父姉」のものに

時が流れ、数年後に父が亡くなる。相続人は母とBさん、そして戸籍上はBさんの弟になっている息子の3人だ。この時は「配偶者の税額軽減」(配偶者が相続した財産が法定相続分または1億6000万円以下なら相続税が課税されない)を活用する意味もあり、遺産は一旦母がすべて相続することにした。

さらに数年がたち、母も亡くなる。法定相続人となった息子は未成年だ。相続手続きを進めるためには特別代理人を選ぶ必要がある。そこでBさんは、以前、孫養子のアイデアを授けてくれた知人に改めて連絡を取り、手続きを正式に依頼した。

数日後、知人から驚くような知らせが届く。「Bさん、お姉さんがいることをご存じでしたか?」

知人によると、母の戸籍を集めたところ、離婚歴があり、前夫との間にBさんより10歳以上年長の姉がいることが分かったのだという。つまり異父姉だ。孫養子の手続きをした時も、父の相続手続きの時も、Bさんは父からも母からも、そのような話は一切聞かされていなかった。そして母は遺言も残さなかった。

Bさんのケースでは父から母に渡った全財産の3分の1が異父姉の相続分になる。知人は異父姉に連絡を取り、直接会って、話を聞いてきてくれた。

異父姉は幼い頃に養子に出され、養親には大切に育てられた。成人して資産家に嫁ぎ、子にも恵まれ、今は何不自由なく暮らしているという。そして、話の最後に「遺産は結構です。もう関わりたくないので、連絡してこないでください」と言われてしまった。

一度は遺産の受け取りを拒否した異父姉だが、知人が「相続分は約6000万円ですが、本当にゼロでよろしいですね」と念を押すと前言を撤回。最終的には法定相続分を受け取ることになった。

ただ、Bさんには最後まで会わなかった。「遺産は父が築いたもの。実子や孫に渡ると思っていたはずだし、異父姉の存在が分かっていたら、父が亡くなった時の相続も変わっていたはず」とBさんは今もモヤモヤしている。

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