◆「本気でおっしゃってるんですか?」と言い放った結果…
これはもう見て見ぬフリはできないと和田さんは、「課長、膵炎で入院されていた主任に酒を飲め!って本気でおっしゃってるんですか?」とあえて少しトゲを含んだ言い方でチクリ。一歩間違えば、今後は彼女が新たなパワハラのターゲットになってもおかしくないところだが、実はこのときすでに夫が翌春、転勤することが内定。2月末で退職する旨を伝えていた。だから、相手がパワハラやアルハラを平気で繰り返す人間でも、まったく恐れる必要のない“無敵の人”状態だったのだ。
「課長は『こういう場でお酒が飲めないのはかわいそうだと思ったから……』と苦しい言い訳をしていましたが、膵炎は三大激痛のひとつで再発の可能性が非常に高い病気です。ただ、それ以前に本人が断った時点で理由に関係なく『お酒を無理に勧めないのが常識だ』と話しました。そして、『それ以上続けるようだと支店長に報告せざるを得ません』とも言いました。私自身は課長から直接被害を受けていたわけじゃないですが、あの人が来てから職場の雰囲気が悪くなったし、その原因を作っていた課長にも思うところがあったので……」
◆別の行員が支店長に課長のパワハラを報告した結果…
和田さんに面と向かって言われたことで課長もマズいと思ったのか、それ以上主任に絡むことはなかったが、あからさまに不服そうな表情をしていたという。ただ、話はこれで終わらない。実は、この様子も含めて一部始終を目撃していた別の行員が、離れた席で飲んでいた支店長に報告したのだ。
支店長はすぐに社長を呼び出し、そのまま一足先に帰宅。どんなやりとりがあったのかは知らないが、帰るように命じられたのは想像に難くない。
「会社としてこの件でちゃんとした処分が下されたわけではないですが、社長から厳しく注意されたと聞いています。主任からは『和田さんのおかげです。本当にありがとうございました』と何度も頭を下げられ、ほかの同僚からもお礼を言われました。本来、私自身はいくら気に入らないことがあっても我慢しちゃうタイプ。自分の退職が控えていたことも大きいですが、私も課長には相当イラッとしてしまったのでしょうね(笑)」
職場内だけでなく飲食店でこのようなアルハラは、店の従業員や居合わせたほかの客にとってもいい迷惑。退職間近だったとはいえ、上司から逆恨みされるリスクを恐れずに注意した彼女には拍手を送りたい。
<TEXT/トシタカマサ>
【トシタカマサ】
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。

