
◆ひさしぶりの映画出演に感じた「ありがたさ」
――今回、映画単独初主演ということですが、初めて映画のお話を聞いたときの率直な気持ちを教えてください。鈴木:主演かどうかに関係なく、映画自体がソロになってから初めてのことで、すごく久しぶりの現場でした。アイドル時代にはホラー映画にメンバーと出演することはあったんですけど、映画を撮るということ自体が新鮮に感じました。作品の内容としても、キラキラした作品じゃないというか、現代の人間模様を描いた作品なんです。挑戦したいと思っていた分野だったので、ありがたいなという気持ちでした。
――実際に撮り終えてみて、いかがでしたか。
鈴木:撮影期間が1週間くらいだったこともあり、体感としては一瞬だったんですよ。監督もたくさんテイクを重ねる監督ではなかったので、「ちゃんとできているかな」という不安もありつつ、「OK!」と言ってくださっている監督のことを信じてクランクアップしました。試写を見るまでは「どんな感じに仕上がっているんだろう」というドキドキと不安の気持ちのほうが大きかったです。

鈴木:不登校という社会問題が描かれている映画です。経験したことのある方もいると思うので、その問題自体が「特別なこと」じゃないというのをいかに表現できるかを意識していました。また、「平成の家族」と「令和の家族」の不登校についての違いがすごくわかりやすく描かれていると思うんです。私も平成生まれの身として、そういう経験を抱えながらも前に進んでいる人をどう表現しようかなとすごく考えました。中学校教師って私は特別だと思うんです。高校教師でもなく、小学校教師でもない。ちょっと生徒が大人になりはじめて思春期にも突入して、でも義務教育にまだ挟まれるという、そんな中学校特有の先生のことはすごく調べてから臨みました。
――イメージしたロールモデルはあったのでしょうか。
鈴木:中学校教師の方の生活に密着している番組があったので、そこから調べたりしていました。ロールモデルというより自分なりに台本を解釈して、ちゃんと自分がイメージした「中学校教師」としていられるようにしましたね。私は、表舞台に立っている人生のほうが長いので、そういった面での「鈴木愛理」を削ぎ落として現場に入れるようにしたいと思って臨みました。
◆幼少期、唯一お父さんに怒られた言葉
――鈴木さんはご自身を「平成」だと表現されましたが、令和において特徴的な存在として描かれている、理由なき不登校の中学生・千花に対し具体的にすぐイメージすることはできたのでしょうか。鈴木:いや、できませんでした。でも私自身の役は先生側であって、逆に生徒に関してあまり理解しすぎないほうがいいかなと思ったんです。千花ちゃんの気持ちを解釈しすぎることはあまりせずに、あえてリアルな感じで現場に入りました。でも、この映画を通して自分的にいちばん感じたのは、先生も「誰かの子」なんだなって。すごく当たり前なんですけど、みんな忘れてるんじゃないかなっていうことを、ニュースとかを見るたびにめちゃくちゃ思うようになりました。親には親なりの意見があって、子どもには子どもなりの意見があって。そしてあいだに挟まれてる先生も誰かの子であって、先生にも「ただいま」と言って帰る居場所があるというのを忘れてはいけないんじゃないかなって思います。

鈴木:ありました……。幼少期は私の仕事が忙しすぎちゃって、全然朝に起きれなくて、そんな私にお母さんが怒るっていうのがいちばん多かったように思います。これだけだとまだ軽いほうなんですが、私、本当に起きなさすぎてお風呂でも水になるまで延々と入りつづけちゃうことがあって、それでお母さんが悩んでしまい喧嘩することがありました。私、お父さんに一度だけ怒られたことがあるんです。あらゆる手段を尽くしても私が起きないから、怒られるときにお母さんが泣いちゃったことがあって、「お母さんを泣かせるな!」ってお父さんに言われました。それが、唯一お父さんに怒られた言葉で、「あ、やばい!」って思いましたね。

