◆炊き上がったら早めに上下をほぐして蒸らす

「炊飯器であればお米を洗ってから水に浸ける時間を計算して炊き上げてくれるものもありますが、土鍋の場合はそれがないですからね。その分、30分~1時間ほどしっかり水に浸けておくのが重要です」
なお、AKOMEYA TOKYOで販売されている有田焼の黒釉土鍋は鍋蓋が二重になっているのが特徴だ。二重蓋が圧力鍋のように働くことで、米が時短でふっくら炊き上がるのだとか。土鍋によるお米の炊き時間は通常20〜25分ほどかかるが、AKOMEYA TOKYOの商品であれば火にかけている時間は10分程度だという。

「お米は炊き上がったあと、放っておくとだんだん固くなってしまいます。なるべくすぐに開けて、ほぐした方が良いですね。窯の中で上下に温度差があるので、しっかり天地を返すようにして、全体の温度が均一になるようにしましょう」



◆「美味しいお米」の文化を続けるために
AKOMEYA TOKYOは渡邉さんが店長を務める神楽坂の旗艦店のほか、渋谷や立川など東京都内を中心に複数店舗を展開。深い信頼関係のある日本各地の農家から米を取り寄せて客ごとに提案・販売しているほか、「ごはんのお供」にあたる食品類や調味料、米粉を使用したスイーツ、米炊きに関わる食器や調理器具など、様々な製品を販売している。「それに加えて、お米の試食販売などを店内で定期的に行っています。実際に食べてもらうことで、お客様ごとの『米の好み』を知ってもらい、お米選びを楽しんでいただくことが目的ですね」
渋谷店などで年数回開催されるメディア向けイベント「ごはんの”お友(おとも)”会」では、人気商品の「ごま和え胡麻」や超薄切り鶏肉を用いた「サクサクふりかけ」、豚そぼろ大葉味噌といったAKOMEYA TOKYOの商品を、上記の製法で美味しく炊かれた土鍋ご飯とともに食べられる。これらも「よりお米を楽しんでもらいたい」と世に広めるための取り組みの一つだ。
「例えばコーヒーのような嗜好品だと、味の好みによって焙煎具合や豆の産地を選ぶ文化は広く普及しています。主食であるお米も同じように『どういう味が好みか』『どういう料理に合わせるか』を基準に選んでもらっていいんです。そのお米を、本日実演したようにしっかり炊いてもらえれば何よりです」
さながらワインのソムリエのように米について語る渡邉さんからは、米という農産物と食文化に対するAKOMEYA TOKYO全体の真摯さが感じられた。昨今の米高値を受けて、巷では「一部家庭では米を食べる回数を減らし、うどんなどを代用食に……」といった大変寂しいニュースも時おり見かけられるが、一方で政府では高値対策で「おこめ券」配布も検討されているという。日本人にとって「ごはん『が』おとも」が当たり前となる日が戻ってきてほしいものである。
<取材・文/デヤブロウ>
【デヤブロウ】
東京都在住。2024年にフリーランスとして独立し、ライター業およびイラスト業で活動中。ライターとしては「Yahoo!ニュース」「macaroni」「All Aboutニュース」などの媒体で、東京都内の飲食店・美術館・博物館・イベント・ほか見所の紹介記事を執筆。プライベートでも都内歩きが趣味で、とりわけ週2〜3回の銭湯&サウナ通いが心のオアシス。好きなエリアは浅草〜上野近辺、池袋周辺、中野〜高円寺辺りなど。X(旧Twitter):@Dejavu_Raw

