◆肩身が狭い思いをした経験も

やばい輩も全肯定マンも、その他諸々の問題児など、だいたいのことを乗り越えるとメンタルが鍛えられるもの。おごらず冷静に対応する能力を身につけていた気にはなっていたが、打ち合わせに同席する研修の女性の視線がとても冷ややかである。氷のような目を向けられ、我がメンタルに亀裂が走った。
担当者2人は私を呼んだ張本人だったので、腹の中で何を考えていようが目の前ではフレンドリーな姿勢を見せる。けれども新人女性はあまり納得のいかない表情を浮かべ、未確認生物を見るような目つきだ。きっとこの手の存在に触れたことがないから戸惑っているのかもしれないけど、彼女からは歓迎ムードをまったく感じない。
立場が上の人間は担当者2人だからこそ、本来であれば気にする必要はないだろう。せこい発言をするなら「そこに好かれればオッケー」なのだが、気にしがちな性格の私にとって、ジトッとした視線はだいぶキツい。冷たい視線を感じ取ってからも無難に対応しつつ、話す時は怖くて目を見られずに研修女性の唇付近を見て勝手に肩身の狭い思いをした。
◆稼いだお金の代償は大きい
このように、肩書のせいではっきりとしたリアクションを浴びせられることも珍しくはない。偏見の多い仕事をしている以上は、肩身の狭い経験も居心地の悪さもある程度は受け入れるのが使命なのだから、仕方がないと割り切るのがベストなのだ。……とは言いつつも傷つくものは傷つくし、嫌なものは一向に慣れない。使命だと頭では理解しようとしているものの、たまに「元女優じゃなかったら、こういう経験をせずに済んだかな?」などを考える夜も私にはある。
稼いだお金と貴重な景色を見たぶんの代償は、そこそこ大きい。“なんとなく”で始めた仕事のマイナス面を今になって回収する我が人生は、本当に波乱万丈。昨今の夜職ブームで気軽に飛び込む若者が増えているけれど、このような悪い部分にも目を向けてほしいと記事を書きながら常に願ってしまう自分がいつもいる。
文/たかなし亜妖
―[元セクシー女優のよもやま話]―
【たかなし亜妖】
元セクシー女優のフリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ソーシャルゲームのシナリオライターを経て、フリーランスへと独立。WEBコラムから作品レビュー、同人作品やセクシービデオの脚本などあらゆる方面で活躍中。

