家計を1円単位で管理する経営者の夫。結婚後8ヶ月で、妻に離婚を切り出された理由

家計を1円単位で管理する経営者の夫。結婚後8ヶ月で、妻に離婚を切り出された理由

男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

—あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:彼のポケットにあった「2人分の高級ディナー」のレシート。スルー?それとも聞く?


どうして、こうなってしまったのだろうか。荷造りをすべて終え、元妻の綾はどこかせいせいとした顔をしている。

そんな綾を見ながら、僕はなんとも言えない複雑な気持ちになった。

今の青山一丁目の家は、結婚してから住んだ家だったので、一緒に住んだのはわずか8ヶ月…。あっという間の離婚だった。

僕は、今の家に残ると決めた。一方の綾は、離婚が決まった途端にすぐに別の家を探してきた。

そのスピードに驚くが、この先彼女がどこかへ行くのか聞く権利もないし、聞いても意味がない。

「今までありがとう、真一」
「うん。綾もお元気で」

交際期間は、1年。結婚期間は、1年未満。

あっという間の離婚だった。

Q1:女が結婚前から少し抱いていた、違和感は?


綾とは、友人の紹介で出会った。「可愛い子がいるよ」と紹介されたのが綾で、実際に会うと細くて顔が小さくて、何より可愛くて驚いた。

「初めまして、綾です」

綾は、派手な顔立ちをしていたので、インフルエンサーか何かと身構えたけれど、外資系の保険会社で営業をしていると言っていた。意外にもサバサバとしていて、精神的にも経済的にも自立していた。

何度か食事へ行き、交際を決意した僕は、綾へ告白することにした。

「実はさ。将来、家業を継ぐために横浜へ帰らないといけないかもしれなくて。もしそうなっても、綾は付いて来てくれる?」

すると綾は躊躇うことなく、笑顔で首を縦に振ってくれた。

「もちろん!私は、どこでもついていくよ」
「ありがとう、綾」

こうして、僕たちは晴れて交際することになった。


交際は順調そのものだった。しかし当時、僕は独立したばかりだったので、収入が不安定な時期でもあった。

その点、綾は自分でもしっかり稼いでいたので僕に経済的に依存してこなかったので、何度も助けられた。

「最近、事業の調子が良くて。社員も一気に増えるし、投資してもらえる額もいい感じなんだよね」
「そうなんだ!すごいね」

綾は、何を言っても褒めてくれるので、大きな自信に繋がった。

男は、多少見栄を張った方がいい。特に仕事に関しては、少し大きく言った方が現実になる可能性も高まる。だから目標をあえて口にして、自分にプレッシャーをかけることもあった。

「来年は売り上げが倍になりそうだし…2年後には、年商10億超えはいけると思うんだよね」
「そうなの?すごくない?」

何もかも、綾のサポーティブな体制のお陰だったことは十分理解している。

それに、綾とのデートは楽だった。

例えば、ちょっと頑張って高めのレストランへ行った時のこと。お会計を見ると、4万8千円だった。

払えないわけではない。でも綾も働いているし、稼いでいる。だから毎回、少しだけもらうようにしていた。


なぜなら交際をしている以上、本来はイーブンであるべきだし、“男側が全額支払う”というのは昭和スタイルだ。

「どうしようかな。4万8千円だから…綾、端数分だけもらってもいい?」
「え?」

金額が聞こえなかったのか、一瞬聞き返してきた綾。しかしすぐに、笑顔で応じてくれた。

「もちろん。むしろ、多めに支払ってくれてありがとう」

男性に媚びず、僕をATM扱いしないところが、綾のいいところだと思う。

「綾といると、楽だな。金銭面で、ノーストレスだし」
「前までの子は違ったの?」
「うん。当然のように支払いを僕に回してくる子ばかりだったから。でもさ、それって平等じゃないよね」
「そうだね。でも世の中…いや、港区界隈にはそういう子は多いよね。むしろ、払ってくれる女子の方が少ないんじゃない?」

こういう会話ができる女性は、スマートで魅力的。さらに綾は性格も良いし、なんの悪い点もない。

だから交際1年で、僕は彼女にプロポーズをすることにした。

Q2:結婚生活に女が耐えられなくなった理由は?


プロポーズをした時、僕は34歳で綾は28歳。すぐに僕の実家がある相模原と、綾のご実家がある川崎へ挨拶に行き、無事に僕たちは結婚した。結婚当初は、幸せいっぱいだったと思う。

「真一のご実家って、相模原なんだね。横浜かと思ってた」
「そうだよ。二人の実家が、遠からず近からずで助かるね」
「そうだね」

結婚した直後のお正月は、元旦は僕の実家、そして2日は綾の実家に挨拶へ行ったりと、ちゃんとした夫婦生活を送れていたはずだ。

それに生活費は僕が多めに支払い、綾も多少支払う…というスタイルだった。

綾の負担は少なかったはずだし、そこに不満はなかったはず。

「綾。今月の生活費、スプシに入れといてね」
「わかった」

僕たちの家計は、スプレッドシートで管理するスタイルを取った。1円単位で細かく把握できるし、資産全体を管理することもできるから経営者の僕としても安心だったし、綾も納得していた。


あと大事なことだけれど、夫婦間で、ホウレンソウもちゃんとしていた。

遅くなる時は事前に言う。夕飯がいるかいらないかも、ちゃんと言う…。我ながら、結構いい夫だったと思う。

ただ結婚してから変わったことといえば、綾が急に口うるさくなったことだろうか。

「今夜は接待で遅くなるかも。大事な投資家の人たちとご飯で」
「投資家?何の?」
「事業のだよ」
「そうなんだ。ところで結婚する前に話していた売上目標、その後どう?順調?」

結婚前は僕の仕事に対して何も言ってこなかったのに、結婚後は微妙に小言を言ってくる。

「何の話?」
「ほら、『2年後には、年商10億超えはいけると思う』って言ってたじゃない」
「違うよ、1億でしょ?」
「そうだっけ?とりあえず、今日の接待頑張ってね」

結局は応援してくれるのだけれど、まるで会社の経理の人のような対応をされたので、僕は段々と綾に仕事の話をすることが少なくなっていった。


「最近、真一何も話してくれないね」
「そうだね。言っても綾にはわからないでしょ?」

言っても怒られるし、意味がないと思ったから。

そのせいだろうか。

結婚して半年経ったくらいから僕たち夫婦の会話が、グンと減った。そこから何となくギクシャクし始め、段々と距離の取り方がわからなくなり…。気が付けば、綾から離婚届を突きつけられていた。

「真一は何も悪くない。でもこれ以上、夫婦でいることは難しいと思うんだ」

たしかにショックだった。

でも、冷め切った夫婦を続けていくより、お互いまだ若くて子供がいないうちに離婚する方がもしかしたら幸せなのかもしれない。だから僕も、離婚を受け入れることにした。

「わかった…。離婚しよう」

慰謝料はなしの、円満離婚。

でも、どうしてこうなってしまったのか、何がダメだったのか…。明確な理由がわからず、僕の心はポッカリと穴が空いている。


▶前回:彼のポケットにあった「2人分の高級ディナー」のレシート。スルー?それとも聞く?

▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由

▶NEXT:1月25日 日曜更新予定
結婚前に見ておくべきだった男の性格は?

配信元: 東京カレンダー

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