「高級ワイン」や「別荘」の活用は“浪費”ではない…富裕層がおもてなしに大金をかける合理的な理由【富裕層専門税理士が解説】

「高級ワイン」や「別荘」の活用は“浪費”ではない…富裕層がおもてなしに大金をかける合理的な理由【富裕層専門税理士が解説】

富裕層が高級ワインやプライベート空間への支出を惜しまないことはよく知られています。一見すると浪費にも捉えられるそのこだわりは、実は「信頼のネットワークを築くため」「自身のパートナーとしての信用を高めるため」という戦略的な投資の側面が含まれているのです。本記事では、富裕層専門税理士の森田貴子氏の著書『富裕層の領収書1000万枚見てきた税理士が教える 億万長者になるお金の使い方』(SBクリエイティブ)から、富裕層にとっての「信用」と「人間関係」の重要性について詳しく解説します。

富裕層は何よりも「信用」を大事にする

「信用を得るには時間がかかる。一方、信用を失うのは一瞬」

これは、ビジネスの現場でも、人生のあらゆる場面でも、変わらない暗黙知です。信用は、「お金では買えないもの」の代表格でしょう。では、どうすれば信頼関係を築いていけるのでしょうか?

嘘をつかない、相手の秘密を守る、約束をきちんと果たす――どれも、人として当たり前のことだと思うかもしれません。人間関係の基本マナーと言ってしまえばそれまでですが、無料で実践できて、偏差値を上げることよりも簡単にできることなのに、多くの人が意外と軽く考えているということを仕事の現場で見てきました。

しかし、ビジネスで成功している富裕層の中で、これらができないことはスタートラインに立てない、付き合うに値しないと見なされます。挨拶やメールの返事を遅らせないこと、期限を守ることなど、入社1年目の社会人が学ぶような当たり前のビジネスマナーを徹底した上で、どんなときも誠実でいること。

類まれなるコミュニケーション能力がなくても、丁寧に人と向き合い、信頼を積み重ねている人を富裕層は好みます。まずは目の前のリクエストに誠実に成果を出すことを積み重ねることです。そうしてようやく得られるのが「信用」です。

しかし、たった一度の失敗が、それまでの蓄積をすべて崩壊させかねません。そして一度失った信用を取り戻すには、最初に信用を得たときよりもはるかに多くの労力が必要になります。正直に言えば、回復しないと考えてよいでしょう。

こうした信用のメカニズムは、お金をいくら費やそうと変わりません。社会では、たとえば、高収入であるとか、有名企業に勤めているといった外側の条件によって、信用があるように扱われることがありますが、人からの信用は、持っているお金の額で左右されるものではありません。

お金では買えないからこそ、富裕層は自分の信用を非常に大事にしています。

たとえば、自分の知人や仕事仲間を紹介してほしいと誰かに頼まれたとき、決して安易には紹介しません。軽い気持ちで紹介したために、万が一にも知人や仕事仲間に迷惑がかかったら、相手の時間やお金を奪うだけでなく、紹介者である自分の信用にも傷が付くからです。

富裕層が重視する「紹介者責任」

富裕層の間で最も重視される社会的規範のひとつが、「紹介者責任」です。

これは単に「誰かを紹介する」という行為にとどまらず、その人物の信頼性・品位・実績までも保証する、無言の契約のようなものです。この責任が重いのは、紹介した相手の言動や振る舞いが、紹介者自身の評判に直結するからです。そのため、安易に人を紹介することはまずありません。

逆に言えば、一度紹介されれば、その時点で一定の信頼と評価が与えられているということでもあります。現代では、SNSやオンラインで人と簡単につながれるようになりましたが、富裕層のネットワークでは、「関係の軽さは信頼構築において致命的な欠陥」とされます。本当に信頼を築きたいなら、まずは成果や実績で信頼されること、その上で、「この人なら紹介できる」と思ってもらえる存在になることが、長期的な成長への最短ルートなのです。

たとえばXさんの頼みで知人のAさんを紹介したところ、XさんがAさんに大変な迷惑をかけたとします。そこでより大きなダメージ(信用毀損)を負うのは、Xさん本人よりも、Xさんを紹介した自分です。そのリスクを避けるために、そして自分がされて嫌なことをしないために安易な紹介は行いません。

富裕層は、信頼のネットワークを資産と考え大切にしています。

だからこそ、「この人なら安心して紹介できる」と思える関係でなければ、ご縁をつなぐことは難しいと思っています。たとえば、「〇〇さんを紹介してほしい」とお願いされたとしても、自分だけでなく、その相手、さらには関係する周りの人たちにとってもプラスになるかどうか──そんなことを自然と考えます。

ご縁を大切にするというのは、誰とでもすぐにつながることではなく、「信頼の連鎖」を丁寧につなぐことでもあるのです。

普段、富裕層、そして富裕層と仕事をしている専門家の会話の中で、

「レピュテーションリスク(評判リスク=紹介者リスク)」という言葉が登場します。紹介する場合はもちろん、「紹介したい人がいる」と言われた場合でも、紹介元の人物に対する信頼がなければ、富裕層は決してその話に乗りません。

さらに、自分が信頼している人たちの間で「誰も聞いたことがない名前」の人には、新規で会おうとしない傾向があります。

人間関係においても、投資においても、「確実」なことなどありません。

だからこそ、信頼の連鎖こそが最大のリスクヘッジになります。

実際、筆者も新しい顧問先との出会いは、既存のお客様からのご紹介がきっかけであることが多いのですが、その新規のお客様が、紹介元とは別の信頼ネットワークで「〇〇さんって知ってる?」と聞いた際に、「知っている」と返ってきたとすれば、ほぼ間違いなく、そのご縁はつながります。

一方で、人は誰しも、うまくいかなかったときに、自分で最終判断を下したにもかかわらず、その責任を他人に転嫁しがちです。「紹介されたから」「誰々が言っていたから」と、失敗を外部要因に求める姿勢では、判断力も信頼も積み重なっていきません。だからこそ、紹介を受けるという行為ひとつにも、「その人がどんな判断をするか」「どんな責任感を持っているか」が反映されるのです。学びにはお金や時間の投資を伴うことが多いけれど、失敗という授業料も払いながら、経験をしていきましょう。

また富裕層は、流れ作業のように大勢の人たちと名刺交換するような交流会に足を運ぶことはほとんどありません。そのうちの誰かと建設的な関係性に発展することはほとんどないからです。つまり富裕層の人間関係は、オープンかつ加速的ではなく、限りなくクローズドな状態でじわじわと、しかし着実に広がっていくものなのです。結局のところ、大切なのは人間関係の広さではありません。信頼できる人たちとの関係を丁寧に育てるためにも、富裕層はリスクヘッジしながら人との距離感をとても大事にしています。

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