【日本庭園 超・入門】なぜ日本庭園には“飛び石”があるのか? 茶の湯が育んだ「露地」の美学

【日本庭園 超・入門】なぜ日本庭園には“飛び石”があるのか? 茶の湯が育んだ「露地」の美学

構成と特徴

愛知「有楽苑」
愛知「有楽苑」の茶室「如庵」を囲む庭園。Lanhang Ye/Shutterstock.com

茶室に向かう露地では、すでに茶事へのプロセスが始まっています。表門を入って客が亭主の迎えを待つ待合の外腰掛け、客が亭主の迎えを受ける中門、その奥の内腰掛け、腰掛けそれぞれには雪隠(せっちん)が付随し、茶事の前に手と口を清める蹲踞(つくばい)、それぞれの場所をつないで客を茶室へと導く飛び石を渡した園路や、暗い時間帯には足元を照らす灯りともなる灯籠(とうろう)など、庭の景物(または添景物)と呼ばれる設備は、一定の約束事をもって造られる、露地に特有の構成要素として導入されたものです。

比較的限られた露地の空間を囲む、簡素でありながら洗練された竹垣なども、その景観に欠かせません。また、露地の景の一部でもある、簡素の美を旨とする茶室の建築は、数寄屋造建築の源流となりました。

臥龍山荘(大洲市)
臥龍山荘(大洲市)、四万十川を借景にしつつも、露地の要素が強く取り込まれた庭園。茶室不老庵に向かう道筋に据えられた基本形の石灯籠(※ミシュラングリーンガイド・ジャポンの一つ星)。

小径を囲む深山幽谷の景には、余計な装飾は避け、季節による変化の少ない常緑樹が用いられることが多いのは、小径を歩く人の、心の落ち着きを乱さないようにといわれています。飛び石は、地面の苔などを保護し、足元を汚さないようにというばかりでなく、庭園空間の歩行のリズムをつくり、連続する場面(シークエンス)の展開を司る装置でもあります。茶庭では、一歩進むごとに細やかに変化する景を視線で捉えるばかりでなく、歩く、佇む、といった動きとともに、身体感覚で味わうという空間という、新たな側面が加わります。

露地の三大景物

松江「明々庵」
松江にある大名茶人・不昧公ゆかりの茶室「明々庵」庭の蹲踞、灯籠、飛石の風景。背景には竹垣の中でも基本の四つ目垣も見える。

茶道の所作が無駄なく美しいように、露地の景物も、それぞれが実用と装飾を兼ね備えた用の美を体現しています。さらに興味深いのは、露地に取り入れられた景物が、今日では伝統的な日本庭園をイメージさせるアイコン的な存在となっていることでしょう。中でも一般的に広く普及していく主な景物に、飛び石・灯籠(とうろう)・蹲踞(つくばい)が挙げられます。

あなたにおすすめ