だが一方で、FIREしたはずなのに不安そうな人、再び会社勤めに戻る人も少なくない。東京23区の中古ワンルームマンション中心に不動産投資を展開する個人投資家・村野博基氏は、2019年にFIREをしている。『戦わずして勝つ 不動産投資30の鉄則』(扶桑社刊)もある村野氏から見た「FIREに失敗する人」の特徴とは。

◆FIREしたのに「幸せに見えない」人たち
資産運用で得た収入だけで生活できるようになり、定年を待たずに早期リタイアするライフスタイルである「FIRE」。私自身も元々は勤め人でしたが、2019年に43歳でFIREをしています。周囲に目を向けると、あちらこちらでFIREを達成した人は多い模様。しかし、仕事は辞めたものの、もう一度就職するという「卒FIRE」の例も同様に見聞きします。FIREしたからといっても、みなが順調に幸せな生活を続けている状況ではないようです。
◆「経済的自由」とは“貯金額”の話じゃない
FIREをしても幸せそうには見えなかったり、再度勤め人に戻る人の傾向は大きく分けて二つでしょう。一方は資産を食いつぶしていく不安などから「稼ぐ必要がある人」、もう片方は毎日ぼーっと生きてるのがつまらないなど「仕事に戻りたい人」です。私からすれば、いずれのケースも残念ながら本当の意味でFIREしたわけではなく、単に「今の会社を辞めた」というだけだと思っています。そもそも、FIREの前提は「経済的な自由を手に入れること」です。資産を食い潰すような状況に陥れば、経済的な自由はどこに行ったのでしょう? そんな状況で「FIREを達成」と宣言するのは、なかなかに恥ずかしい話のような気がします。
では「経済的な自由」とは何でしょうか? 私は(1)収入が支出を上回る状態が、(2)自身の自由な意志で実現できていること、と考えています。「欲しいモノ」「やりたいこと」があっても、それを実行すれば支出が増えて収入を上回り、ゆくゆく資産を食い潰すのであれば、破産しないようにやりたいことを制限する必要があります。それは自由とは言えないでしょう。
毎月の給与の範囲内でやりたい事が出来ていれば、それは(1)の「収入より支出が多い」という状態は達成しています。一方で勤め人ならば、自分の自由な意志は制限されるので(2)の状態は満たしていません。例えば、勤め人が「会社の方針に逆らう」や「上司の指示を聞かない」など、自分の好き勝手に振る舞っていたら、クビになっても文句は言えないです。勤め人は他人に雇われている存在であり、雇い主の意向には沿わなければなりません。これでは「収入−支出がプラス」の状態が自分の自由な意志で実現できているわけではないのです。もっとも、勤め人でも好き勝手できる立場であれば、「経済的な自由」を手に入れたも同然です。

