160円での為替介入は、「5年MA」でみると“異例の早さ”に
ここ数年の円安局面において、日本の通貨当局は、2022年と2024年に米ドル売り・円買い介入を実施し、円安の流れを止めることに成功しました。興味深いのは、これらの介入がいずれも「米ドル/円が5年MA(移動平均線)を約3割上回った水準」で行われている点です(図表3参照)。
[図表3]米ドル/円の5年MAかい離率と円買い介入(1990年~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
足下の5年MAは138円程度であり、160円でもその16%程度上回っているにすぎません。5年MAとのかい離という観点でみると、仮に160円近辺で米ドル売り介入が行われた場合、過去と比べてかなり早い段階での介入ということになります。
“米ドル自滅”か「かい離3割超」でなければ円安は止まらない?
ちなみに、2022年より前、日本の通貨当局が米ドル売り・円買い介入を行ったのは、1997~1998年です。
介入開始は1997年11月、当時の米ドル/円は5年MAを約15%上回る水準でしたが、その後も米ドル高・円安は1年近く続き、最終的には5年MAを3割以上上回るところまで進行しました。
この期間中、1998年6月には日米協調による米ドル売り介入が1度だけ実施されました。実施時点で米ドル/円は5年MAを25%以上上回っていましたが、それでも米ドル高・円安の流れは止まりませんでした。
結局、米ドル高・円安が反転したのは、1998年に大手ヘッジファンドの破綻などを契機に米国株が急落し、FRB(米連邦準備制度理事会)が利下げへ転換したことがきっかけでした。
こうした1997~1998年、2022年、2024年の介入局面を踏まえると、米ドル高・円安は米ドル側の「自滅」要因が生じるか、あるいは米ドル/円が5年MAを3割程度上回る水準に達するまでは止まらない可能性があります。
したがって、今回仮に160円近辺で米ドル売り介入が行われたとしても、それだけで円安が止まるかどうかは微妙なところです。
