「プロに丸投げ」で資産が逃げていく?富裕層が「時間とお金の判断」を決して人任せにしないワケ【富裕層専門税理士が解説】

「プロに丸投げ」で資産が逃げていく?富裕層が「時間とお金の判断」を決して人任せにしないワケ【富裕層専門税理士が解説】

専門家に依頼したり、雇ったりできるだけの資産を持つ富裕層は、面倒な管理をすべてプロに任せているイメージがあるかもしれません。しかし、実際は富を持続させる富裕層ほど時間やお金の管理に人一倍シビアな傾向があります。なぜ富裕層は自ら時間やお金を管理し、丸投げをしないのでしょうか。本記事では、富裕層専門税理士の森田貴子氏による著書『富裕層の領収書1000万枚見てきた税理士が教える 億万長者になるお金の使い方』(SBクリエイティブ)から、富裕層の資産管理の観点を紹介します。

「時間=資産」という明確な感覚を持っている

富裕層は「とにかく判断が速い」という共通点があります。

メールの返信はもちろん、ランチのメニューを決めるのもとにかく速い。「何を食べるか」「どこへ行くか」「誰と会うか」──日常の判断に迷いがありません。基本的に、即決・即行動が習慣になっているのです。

これは単なる性格ではなく、

時間そのものが資産であると捉えているからです。

富裕層が自分の時間を資産とみなす感覚は、専門家の世界で言う「タイムチャージ」に近いでしょう。タイムチャージとは、弁護士や税理士が1時間あたりの単価で報酬を請求する仕組みのことです。専門家にとって「時間=価値」であるように、富裕層もまた「時間=資産」と考え、自分の時間を、誰と何に投じるかを徹底して見極めているのです。

そのため、届くメールも、重要度が高ければすぐに返事をします。逆に重要度の低いものはすぐには返事をしません。これは決して決断が遅いのではなく、「すぐに返信しない」という判断を即座にしているということです。優先順位を徹底的に意識しているのです。

逆に、富が継続しない人ほど時間を軽んじる傾向があります。時間は最も平等に与えられた資源であり、それをどう使うかが富の持続力を大きく左右するのです。

また、時間に価値を置く富裕層ほど、いたずらに人の時間を奪う人を嫌います。

筆者自身、時間に価値を置く富裕層と連絡を取るときは、メールの送信タイミングや文量、文章構成にまで気を配ってきました。彼らは、こちらの「時間の使い方」まで見ています。

たとえば、「目的がよくわからない会議」はもってのほか、「あの人はなぜ会議に出ていたのか?」と問われないようにしなければなりません。そこに座っているだけでは、時間を消費しているだけで何の価値もないのです。最悪の場合、相手の時間を奪ってしまうことにもなりかねません。

では、会議に出て「価値を生む」とはどういうことか。

まず最低条件として、共通言語を理解していなければいけません。ビジネスや業界の言葉がわからなければ、議事録ひとつ正確に残すこともできません。だからこそ学ぶ必要があるのです。新人が議事録を取る役割を任されても、専門用語や背景知識を理解していなければ正しく記録できません。こうした単純作業は、いずれAIに代替されていくでしょう。だからこそ、人間に求められるのは「共通言語を理解した上で、会議に価値を加えられる存在」であることなのです。

さらに富裕層は、お金で時間を買うことに迷いがありません。移動手段は特別な事情がない限り直行便。値段の安さやポイント付与ではなく、移動時間をどれだけ短縮できるかを最優先します。移動で浮いた時間を仕事や家族との時間、学びやリフレッシュにあてる。その姿勢が、さらに富を引き寄せる好循環を生み出しています。「時間を買う」という発想が、富を引き寄せるのです。

■学び1

時間が資産であること、何にどれだけ時間を使うかを意識しましょう。時間の使い方が富の持続力を決めます。また、自分が「時間を投資するに値する存在」と証明するためには、会議にただ参加するだけでは意味がなく、共通言語を理解し、知識と経験をもって会議に貢献する必要があります。

プロに任せはするものの、丸投げはしない

持続的に富を築いている富裕層のもうひとつの共通点は、「お金の管理を決して人任せにしない」という姿勢です。

もちろん税務判断や申告は、税理士などの専門家の力を借ります。けれど、だからと言ってすべてを丸投げしているわけではありません。

たとえば資産管理会社や個人申告の領収書ひとつでも、富裕層は用途ごとに整理した状態で提出します。年に一度の申告前に慌ててまとめるのとは、まったく異なるレベルの意識です。会社経営にたとえるなら、稟議書で承認を得たり、投資委員会や取締役会で大きな支出を決議したりするのと同じこと。

経営者ならばドサッと領収書を渡して処理させれば済むように思うかもしれませんが、富が持続している富裕層ほど資産管理会社や個人の経費をきちんと把握しています。こうした日常の積み重ねが、健全なお金の感覚を支えているのです。

専門家にとっても、富が持続している富裕層との仕事にはある種の緊張感があります。彼らは「なぜこの資料が必要か」「どう判断すればよいのか」と必ず確認し、判断の材料を求めてきます。専門家にすべてを委ねるのではなく、説明を聞き、自分の頭で整理した上で最終的な決断を下す──その姿勢が徹底されているのです。

会社経営と同様ですね。プロに任せるところは任せつつ、自分自身でも状況を理解し、最後の判断は自ら行う。そうでなければ資産を守り、増やし、次の世代に継承することはできないと知っているからです。

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