「日本に17軒だけ残るストリップ劇場」の現場で起きていること。ベテラン踊り子が直面する現実

「日本に17軒だけ残るストリップ劇場」の現場で起きていること。ベテラン踊り子が直面する現実

劇場は減り、客も減り、ストリップ嬢の居場所は年々狭くなっている。それでも、舞台に立ち続ける理由がある。人生の半分以上を裸で踊ってきた女性たちが、消えゆく昭和エロスの現場で、その熱い思いを語ってくれた。

◆ずっと裸で生きてきた。私は生涯、踊り続けたい

東京都渋谷区道玄坂にあるストリップ劇場『道頓堀劇場』。開場前には“推し”踊り子を待つ女性ファンも多かった
 最後の昭和エロスが危機に瀕している――。戦後間もなく誕生したストリップは、最盛期には全国に300軒の劇場があったが、1985年の新風営法で規制が強化されると徐々に姿を消し、現在、日本わずかは17軒が残るのみだ。

 斜陽産業と見なされ、衰退の一途を辿ってきたストリップだが、近年、近年、女性客の流入を背景に「新たな客層を取り込んだ」「ブームが起きている」と語られる場面もあった。大衆文化に詳しい江戸川大学の西条昇教授は、その変化についてこう指摘する。

「女性客が客席の3割を占めることもありました。漫画やアニメを題材にした“2・5次元ストリップ”や、“男装BLストリップ”など、オタク文化と親和性の高い演目も見られ、女性客が推しをつくるようになった。その結果、一部の若いストリッパーのアイドル化が進んでます」

劇場には、インバウンド客も想定して、各国の案内チラシが置かれていた
 もっとも、こうした動きは業界全体の回復を意味するものではない。劇場数が激減し、従来の男性客が減少するなかで生じた局所的復活にすぎず、現在のストリップ界は、「若くて、推されるアイドルストリッパー」と、「年齢を重ね、静かに業界から去っていくベテランの踊り子」へと二極化しつつある。30歳でそろそろ引退といわれる業界だけに、ベテラン嬢を取り巻く環境は厳しくなるばかりだ。

◆個人事業主であるストリッパーにのしかかる「経費」

 キャリア27年の牧瀬茜(年齢非公表)さんは、こう話す。

牧瀬茜さん。1998年デビュー。以降、’12年に親の介護で休業するまで年間300日、全国各地の劇場で活動。復帰後も精力的に踊り続ける。文筆活動も行い、短歌専門誌に寄稿。著書に『歌舞伎町で待ってます』(メタモル出版など)
「昔はちょっとした温泉地には必ずストリップ劇場があり、社員旅行の団体客などが詰めかけ、今とは桁違いにお客さんが多かった。当時は1日に『2足(1足=100人)』くらい普通に入っていたと聞きます。社員旅行がなくなった今、温泉地の劇場はたった3館になってしまった」

 仕事場の減少に加えて、個人事業主であるストリッパーは「経費」が重くのしかかる。 「衣装や振り付け代、交通費や宿泊費は自腹。衣装は演目に合わせて作るので、オーダーで最低10万円。50万円ほどかけるコも珍しくない。昔は、新しい出し物を1つ作れば20軒ほどの劇場を回れたけど、今は5軒で踊ったらまた新しい演目を作らなければならず、衣装代が嵩む。全国を回る交通費、地方の劇場に衣装を送る宅配便の代金もバカになりません」

ベテランのストリッパーには、年齢を重ねたゆえの問題も降りかかる。

「体力は落ちるし、ケガや病気もしやすくなる。去年はステージで転んで手首を骨折、1か月ほど休業しました。親の介護で3年ほど舞台から離れたこともある。ストリッパーは踊らなければ、収入はゼロ。休んでいる間に芸が錆びたり、お客さんが離れないか不安で。幸い復帰できましたが、1年先は見えません。でも、お金では得られない、裸で表現する魅力がある。人生の半分以上をストリッパーとして生きてきたので、もう人生の一部。いいステージにしたい思いに、ゴールなんてない」


配信元: 日刊SPA!

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