【東京五輪贈賄事件】KADOKAWA前会長、226日勾留の“人質司法”を告発。「証拠なき有罪」弘中弁護士が徹底批判

【東京五輪贈賄事件】KADOKAWA前会長、226日勾留の“人質司法”を告発。「証拠なき有罪」弘中弁護士が徹底批判

◆否認した唯一の被告、226日の勾留

いち早くネット時代に着目し、メディアミックスを推進した角川歴彦氏は、父・角川源義氏が創業したKADOKAWA(前身・角川書店)を、講談社、集英社、小学館に対抗する大手出版社へと発展させてきた。

その角川氏は、自身が「国策捜査の標的にされた」と受け止めている。2022年8月8日から3回にわたり、東京地検特捜部の久保庭幸之助検事から任意の聴取を受けた後、同年9月14日に突然逮捕された。当時79歳で、不整脈の持病を抱え、11月には3回目の手術を控えていた。

にもかかわらず、保釈請求は「証拠隠滅の可能性」を理由に却下された。東京拘置所では氏名ではなく「八五〇一」と呼ばれ、名前で呼ばれることはなかったという。

角川氏は、検察調書には一通も署名・押印しなかった。その結果、五輪汚職事件で逮捕・起訴された他の15人が公訴事実を概ね認めて次々と保釈される中で、ただ一人、「証拠隠滅の可能性」を理由に長期勾留され、「あなたは囚人になった」と検事から告げられた。勾留期間は226日に及んだ。

この提訴に合わせて、角川氏は『人間の証明 勾留226日と私の生存権について』(リトルモア)を出版している。国に賠償を求める人質司法違憲訴訟については、弁護団が専用サイトを開設し、経過を発信している。

同書の中で角川氏は、海外から「中世のなごり」と批判される日本の司法制度に触れ、「制度を近代化し、自分と同じ犠牲者を生まないために死力を尽くす。それは、出版人としてメディアに生きてきた者の責務であり、生涯最後の仕事として取り組むに値する」と強調している。

◆リークと逮捕の因果関係を問う

著書では、自身も身を置いたメディアへの批判が展開されている。「人質司法の恐怖を最初に体感したのはマスメディアによる犯人視報道だった」「特捜検察はメディア報道を利用して被疑者や被告人を『犯罪者』に仕立て上げ、世論の後押しを得て強引に捜査を進める。これはまさに現代の『人民裁判』である」

この国賠裁判で、国側は答弁書で「角川被告が、マスコミ記者の前で無実の主張をしたことで、証拠隠滅の恐れが生じたため逮捕した」という主張をしている。

角川氏の刑事・民事の両裁判を支援している伊達百合氏(角川文化振興財団事務局員)は私の取材にこう述べた。

「久保庭検事が2回目の任意の取り調べの時に、家の前にメディアの人がいっぱい来て、ポンポン、ポンポン押して、凄く困っているということを言ったら、久保庭氏が『ああ、悪い、悪い。上の方がリークしちゃったんだよ』と言った。その後に新聞報道も出て、真夜中まで100人以上が集まってきて、角川は、近所迷惑だということで、代表質問を受けた。それが22年9月5日で、9月6日にまた久保庭検事から呼ばれて『まずい、まずい、あんなことしちゃだめですよ』と言って、メディアに発言しないように求めた」

その翌週の9月14日に角川氏は逮捕された。当時79歳で、不整脈の持病があり、11月に3回目の手術を受ける予定だ。保釈請求は「証拠隠滅の可能性」を理由に却下された。

国側は国賠訴訟の答弁書で、「角川氏が代表質問を受けて自分が無実であることを語ったので、罪証隠滅の恐れがあると判断して逮捕した」と記述している。国側の訴訟代理人(検察官出向の法務省事務官)は「被疑者が無実というと、部下など関係者がそれに引きずられ真実を言わなくなる。証拠を隠す恐れも出る」と主張している。

伊達氏は「自分たちがメディアにリークしておいて、取材を受けたことが罪証隠滅になるといって逮捕。これがメディアと権力の癒着の実態だ」と指摘する。


配信元: 日刊SPA!

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