◆「無実を語ると捕まる国」への告発
報道各社は、角川歴彦氏が訴える「メディアが権力に利用され、無実を主張すると逮捕・長期勾留につながる構造」について、十分に伝えていない。現在の争点は、国側が答弁書で「記者団に無実を訴えたことで証拠隠滅の恐れが生じたため、逮捕・勾留した」と主張している点だ。国側はさらに、社内関係者との口裏合わせの可能性も挙げているが、弁護団は「根拠のない言いがかりだ」と反論している。
この点について、弘中惇一郎弁護士は「無実を訴えたこと自体を証拠隠滅と結びつける発想には、裁判官も呆れているのではないか」と批判した。
また、記者から「刑事事件で一審有罪となったことが人質司法国賠訴訟に影響するか」と問われた村山浩昭弁護士は、「論理的には影響しない」としつつ、「冤罪の温床で無実の人が一審有罪になる例は多く、事実上の影響は否定できない」と述べた。
一方、角川氏は保釈条件について「接触禁止の対象者が緩和され、余生でやりたかった仕事に取り組めるようになった」と語った。国賠訴訟をめぐっては、弁護団とともに地裁近くで学習会を重ね、「人質司法が無実の人をも有罪にしてしまう構造」を訴えている。
勾留中の体験については、「人間として扱われていないと感じた。こうした状況を変え、同じ思いをする人を出したくない」と語り、「刑事事件の有罪・無罪を超えて、人質司法をなくすために闘い続ける」と強調した。
筆者の取材に対して角川氏は、5月に埼玉県所沢市で日中アニメ祭を開催する準備を進めていることを明らかにし、「政治的に難しい状況だからこそ、民間の文化交流として成功させたい」と語った。
「裁判の結果にかかわらず、惨めな逮捕や勾留が他の人に起きないよう努力する。闘いは続く」と前向きな姿勢を示した。<取材・文/浅野健一>
【浅野健一】
1948年、香川県高松市生まれ。72年、共同通信社に入社。84年『犯罪報道の犯罪』(学陽書房)を発表。ジャカルタ支局長など歴任。94年に退社。94年から2014年まで同志社大学大学院メディア学専攻教授。人権と報道・連絡会代表世話人。『記者クラブ解体新書』(現代人文社)『安倍政権・言論弾圧の犯罪』(社会評論社)『生涯一記者 権力監視のジャーナリズム提言』(社会評論社)など著書多数。あけび書房から2月、『自民党は解党・解散せよ 統一協会・裏金・軍拡の政党は不要』と『安倍元首相銃撃・山上徹也さん裁判傍聴記』を緊急出版する。現在、予約を受け付け中。詳細はあけび書房のHPを参照。 Xアカウント:@hCHKK4SFYaKY1Su

