◆1990年代の詐欺は「時効」という壁
今回の調査では、1990年代の事案も含まれているとされるが、刑事責任を問えるのか。「詐欺罪の公訴時効は7年です。1990年代の事案については、刑事責任を問うことはできませんし、民事責任についても、詐欺行為から20年が経過していれば、時効が成立している可能性が高いです。正直に言えば“逃げ得”ですが、これが現行司法制度の限界でしょう」
ただし、時効が経過していたとしても、会社が任意に補償する可能性もある。
「信頼回復の観点から、時効成立のケースでも補償が行われる可能性はあります。被害者としては、会社に補償を求めるのが現実的な救済手段です」
◆「稼げなかったから」は通用しない。裁判でむしろ不利になる事情
会見で同社の次期社長は、不正の背景として「報酬の変動が大きい」「短期間で大金を得やすい」といった組織構造を挙げた。これが裁判で仮に被告側証言から出された際、情状酌量として考慮される余地はあるのだろうか。南澤弁護士は「結論として、情状酌量どころか、むしろマイナス評価になる可能性が高いと思われます」と断じる。「プルデンシャル生命は『外資系・フルコミッション・高収入』というイメージで社員を集めてきました。その実態を理解したうえで入社し、お金欲しさに犯罪に手を染めたのであれば、動機のすべてが利己的です。会社に騙されたという言い訳は通じません。私欲に基づく犯罪は、裁判所からも厳しく非難される傾向があります」
低賃金で搾取される環境とは違い、転職や起業という選択肢もある中で、犯罪という“近道”を選んだ点は、個人の責任と評価されやすいというわけだ。
「反社に脅迫され、逃げ場のない環境で詐欺に加担させられたケースとは全く異なります。自らの意思で人をだまし、贅沢をしてきた行為に同情の余地はありません。その感覚は、量刑にも反映されるでしょう」
企業が補償で幕引きを図ろうとも、人をだまし、信用を食い物にした行為そのものが消えるわけではない。社名を背負った“営業”から転落した“詐欺師”たちが、刑事司法の場でどんな裁きを受けるのか。この事件の本当の決着は、これから始まる。<取材・文/日刊SPA!取材班>

「パチスロで学費を稼ぎ、弁護士になった男」という異色の経歴を持つ。司法修習時代は、精神医療センターにて、ギャンブルを含む依存症問題について研修を受けた経験があり、一般市民の悩みに寄り添った、庶民派の弁護士を志す。アディーレ法律事務所・北千住支店長として対応した法律相談数は、累計数千件に及び、多様な一般民事分野の処理経験を経て、現在は交通事故部門の責任者となる。
【南澤毅吾】
アディーレ法律事務所。「パチスロで学費を稼ぎ、弁護士になった男」という異色の経歴を持つ。司法修習時代は、精神医療センターにて、ギャンブルを含む依存症問題について研修を受けた経験があり、一般市民の悩みに寄り添った、庶民派の弁護士を志す。アディーレ法律事務所・北千住支店長として対応した法律相談数は、累計数千件に及び、多様な一般民事分野の処理経験を経て、現在は交通事故部門の責任者となる。

