Episode ②探偵事務所と組んで最寄駅で接触
次にご紹介するのは、ある半導体関連の技術者のヘッドハンティングです。会社のガードが非常に固く、手紙やメールも監視されている可能性が高く、接触は困難を極めました。
行動調査の結果、ターゲットは私より年上で、警戒心や猜疑心が非常に強く、行動に隙がないことがわかりました。探偵事務所による尾行調査は、ターゲットに気づかれた時点で案件が破綻することが多く、細心の注意が必要です。通常は3人一組の交代制で行います。
私を含めた4人で3日間尾行を続けた結果、ターゲットが自宅最寄駅の喫茶店で毎日モーニングセットを食べる習慣があることが判明。会社近くの喫茶店では上司や同僚に見られる可能性がありますが、自宅近くであればその確率は低くなります。粘り強い追跡調査の末、私はついにモーニングを食べているターゲットと接触を果たすことができました。しかし、この方は最終的に転職をせず、現職に留まったのです。
Episode ③パーティー会場に潜入してターゲットにデータを手渡し
次は、外資系ラグジュアリーブランドを展開する有名企業経営者のケースです。外国人であったため、転職への心理的ハードルは比較的低い印象がありました。しかし私は、演出効果を最大化するため、あえて謝恩会のパーティーに潜入しました。
パーティー会場での歓談の合間を縫い、私は小声で自分の身元と目的をターゲットに明かしました。驚くべきことに、接触後の彼の第一声は「ポジションと年収は?」でした。しかし、残念ながらポジションにも年収にも興味がなかったようで、この方も最終的にスカウトに応じることはありませんでした。
