いつまでも輝く女性に ranune
「さようなら、あなた…」〈年金月20万円〉〈資産3,000万円〉潤沢な資金で定年を迎えた銀行員、祝賀会を終え帰路に着くと…酔いも醒める「衝撃的な置き手紙」【FPの助言】

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妻の別居宣言、失われた資産と年金の現実

美佐子さんは娘夫婦の近くにアパートを借り、別居生活を開始しました。康夫さんが必死に連絡を取ろうとしても、「もう一緒には暮らせません」の一点張り。そして美佐子さんは、離婚に向けて弁護士に相談を始めたのです。

定年後も元上司とのゴルフを続けていた康夫さんは、ゴルフ仲間からも「奥さんに逃げられるなんて、よっぽどのことがあったんだろうな」と陰で噂される始末。銀行員としての威厳も地に落ちました。

「結婚期間中にお二人で協力して築いた財産については、財産分与の対象となります」

弁護士から説明を受けた康夫さんは愕然としました。離婚が成立すれば、婚姻期間中に夫婦の協力で形成した資産が分割対象となり、美佐子さんにも相当額が分与される可能性があります。また、年金についても年金分割制度があり、婚姻期間中の厚生年金の標準報酬記録を最大2分の1まで按分できることを初めて知りました。

「3,000万円があっても、半分近くを失う可能性がある。年金も減額される。ゴルフに使った何百万円があれば……」

さらに、康夫さんは一人暮らしの生活費が予想以上にかかることも実感していました。美佐子さんがいかに家計を切り盛りしてくれていたか、今になって痛感したのです。康夫さんが描いた「悠々自適の老後」は、完全に崩れ去りました。お金を貯めることばかりに集中し、妻には厳しく、自分には甘い生活を続けた結果がこれだったのです。

家族を失った男性が気づいた「本当の豊かさ」とは

別居から半年後、康夫さんは一人暮らしの現実と向き合っています。3,000万円の資産があっても、一人で食べる食事の味気なさ。体調を崩しても心配してくれる人がいない孤独感。ゴルフ仲間とも疎遠になり、「お金があれば幸せ」という価値観が、いかに浅薄だったかを痛感しています。

洗濯や掃除、買い物といった日常生活の全てを一人でこなすことの大変さも実感しました。美佐子さんがどれだけ自分を支えてくれていたか、失って初めて気づいたのです。

調停を通じて話を聞く中で、康夫さんは妻の本音を初めて知りました。

「俺はなんて馬鹿だったんだ!」

気付くのが遅すぎたことを、いくら後悔してもしきれません。

康夫さんはゴルフクラブは売却し、美佐子さんとの復縁は難しいかもしれませんが、「もし次のパートナーができたら、お金の価値観を共有し、対等な関係を築きたい」と語ります。

また、成人した子どもたちとの関係修復にも努めています。「父親として、もっと家族のそばにいるべきだった」と反省し、孫との時間を大切にするようになりました。資産があっても心の豊かさがなければ、本当の幸せは得られません。

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