
1.地域限定保育士とは
地域限定保育士とは、試験に合格した地域のみで働ける保育士資格のことです。正式名称を「国家戦略特別区域限定保育士」といい、年に2回実施される通常の保育士国家試験とは別に、都道府県が地域限定保育士試験を実施します。居住地以外の地域での受験もできますが、合格後3年間は、試験を受けた地域でのみ保育士としての資格が有効です。4年目からは、全国どこでも通常の保育士として働くことができるようになります。
これまでは国から指定を受けた国家戦略特区でのみ実施されていましたが、2025年4月の児童福祉法改正によって、2026年をめどに全国的に導入される方針が決まりました。
地域限定保育士ができた背景
地域限定保育士は、深刻な保育士不足対策として2015年に創設されました。保育士の有効求人倍率は、全産業の平均と比べて2倍以上高く、人手不足が課題となっています。

さらに、保育士試験の合格率が20〜30%程度と低いことも背景にあります。合格のチャンスを増やすため、従来は年に1回だった保育士試験が、2016年以降は2回実施されるようになりました。しかし、依然として保育士不足の状況が続いています。
地域限定保育士は、人材確保がとくに困難な地域で始まった制度で、今後、対象地域が全国へと広がることで人手不足の解消が期待されています。
保育士との違い
地域限定保育士と通常の保育士は、同じ職務を担います。主な違いは、試験の回数と実施する地域、実技試験・勤務地の制限の有無です。
保育士 | 地域限定保育士 | |
|---|---|---|
試験の回数 | 年に2回(前期・後期) | 通常の保育士試験に加えて実施 |
実施する地域 | 各都道府県 | 特定の地域 |
実技試験の有無 | あり | 地域により異なる ※実技試験の代わりに講習の受講とする地域もある ※幼稚園教諭免許所有者は免除 |
勤務地の制限 | なし | 3年間は合格した地域でのみ就労可能 |
※制度の全国展開に伴い、試験の回数、内容、実施地域に変更の可能性があります
2.地域限定保育士になるには

地域限定保育士になるには、都道府県や市などで実施される試験に合格する必要があります。対象地域で働くためには、登録手続きをおこない地域限定保育士証の交付を受けます。ただし、精神に障がいがある、意思疎通が困難、禁固刑を受けたことがあるなど、欠格事由に当てはまる場合は登録が認められないこともあります。
受験資格
受験資格は全国で実施される保育士試験と同様、下記のいずれかを満たす必要があります。
〈養成校ルート〉
厚生労働大臣の指定する保育士養成校(大学、短期大学、専門学校)に進学し、所定の専門教育を修了
〈大学・短大・専門学校ルート〉
最終学歴が学校教育法に基づく大学*、短期大学、専門学校(2年以上)卒業
*大学に2年以上在籍し、62単位以上取得済みであれば、在学中・中退でも受験可能
〈実務経験ルート〉
最終学歴が高校卒業*の場合は2年2,880時間以上、中学卒業の場合は5年7,200時間以上、児童福祉施設で実務経験を積む
*高校の保育科を1996年3月31日以前に、保育科以外(普通科など)を1991年3月31日以前に卒業している場合、実務経験がなくても受験可能
試験の内容
これまで地域限定保育士の試験を実施した地域では、通常の保育士試験と同等の出題範囲、試験時間、配点、合格基準が採用されています。また、独自に試験を作成するハードルの高さから、通常の試験と同じ日程で、全く同じ問題を出題している地域もあります。
試験の時期
地域限定保育士試験がおこなわれる時期は、地域によって異なります。通常の試験と同じ日程(4月・10月)の場合もあれば、別日に実施される場合もあります。
受験料
受験料は1万2,700円です。これに加えて振り込み手数料が350円程度かかるほか、郵送の場合は郵送料が発生する地域もあります。

