これが令和か…兼業医師の特殊すぎる働き方を聞いてみた「医業一本ではリスクがある」

これが令和か…兼業医師の特殊すぎる働き方を聞いてみた「医業一本ではリスクがある」

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「医師免許を取ったら一生お金に困らない」そんなイメージを持っている人は多いのではないでしょうか。しかし、近年の働き方改革や医療機関の経営状況の悪化などにより、医師のなかには将来を不安視する人もいます。今回取材した医師もその一人。X(旧:Twitter)やnoteで医師の副業や起業について発信するらいおん先生です。

臨床の現場から一歩距離を置き、研究や副業にも取り組みながら、医師としての働き方やお金との向き合い方を模索してきました。なぜこのような働き方を選択したのか。その背景にある思いを聞きました。

話を聞いた人

らいおん先生のプロフィールアイコン

らいおんさん

医学部在学中に研究に魅了され、ハーバード大学への留学を経験。大学卒業後は大学院に進学し中退。同期と7年ほど遅れて医師免許を取得し、初期研修後に美容医療クリニックに就職。在職中からXLINEで、らいおんとして医師の副業について発信。オンライン診療、執筆などの副業をしながら、2025年からは企業の顧問兼研究者を務める。

医師が“経済的な安定”を求めた理由

取材を受けるらいおん先生

──らいおんさんはSNSで医師の副業や事業について発信していますが、現在はどのようなお仕事をされているんですか?

らいおんさん:本業は企業顧問と研究者で、主に再生医療の研究をしています。細胞培養の期間中などは手が空くこともあるので、その時間を利用して副業もしています。

──どのような副業を?

文章を書くことが得意だったので、最初は医療コラムの執筆や仮想通貨に関する英語記事の翻訳をしていました。あとは、医業以外で働く方法などをnoteで書いて販売したり、コンサルしたりしています。

また2025年12月には、医師仲間3名で「ダーマコンサル」という訪問診療医向けの皮膚科相談サービスを始めるなど、いくつかの事業もおこなっています。

──医業だけでも十分な収入がありそうですが、なぜ副業をしているんでしょうか。

一番の理由は「医業一本で生きていくのは、リスクがある」と感じたからです。私自身も、医師になれば一生食いっぱぐれないと思ってこの道を選びましたが、実際に仕事に就いてみたら想像と異なる現状がありました。

働き方改革の影響で労働時間は制限される一方、人手不足で現場の負担は重く、年収は下がりつつあります。同業者からも「子どもを医学部に行かせられない」という声もよく耳にします。

また、長時間労働を続けた結果、家庭に影響が出てしまった医師も少なくありません。生活面を犠牲にする働き方は「医師である前に『人として』幸せなのか?」。そんな疑問を抱くようになったんです。

医療の質を保ちながら長く働き続けるためには、経済面・生活面の安定が欠かせません。そのために、一つの仕事にすべてを委ねるのではなく、複数の選択肢を持っておきたいと考えるようになりました。

臨床の場で見た「医師の現実」

──医業以外のことに取り組み始めたのは、いつごろからですか?

2年間の研修医期間を経て、美容医療クリニックに就職したころからです。臨床の場と異なり、業務内容が画一的だったので、業務がルーチン化し、時間に余裕が生まれたことで副業を始めました。

医師らいおんさんの経歴

──最初の就職先として、研究や一般病院ではなく、美容医療を選ばれたんですね。

知人から「美容クリニックの院長をやらないか」と誘いを受けたのがきっかけです。高校生のころから肌に悩みがあったのと、条件面が良かったため入職しました。

学生時代から遺伝子研究に強い興味があり、当初は研究者になりたいと思っていました。ですが、研究者としての採用枠は少ないですし、もしなれたとしても医師と比べると給与はかなり低いのが現実です。

国立とはいえ、ほかの学部より学費が1.5倍ほどかかったうえ、大学・大学院と多額の奨学金を借りていたので、早めに返済を始めたいと思っていました。

──なるほど。美容医療クリニックよりも給与は高水準なのでしょうか?

一般的な保険診療の病院と比べると、スタートの年収は高いですが、経験に応じた昇給はあまり見込めません。また、経営が安定しているとは限りませんし、医療事故などのリスクもあります。実際に私が勤めていたクリニックも、内部不正もあり、入職4年目で倒産してしまいました。

このころはもう副業で安定的に収入を得ていたので、焦らず転職先を探すことができました。たまたま父の知り合いの縁で、ある企業が医師の研究者を探していると聞き、顧問との兼務として迎え入れてくれました。まさに「人間万事塞翁が馬」です。

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