Q3. 相続人のなかに未成年者がいる場合の遺産分割はどうすればよいですか。
A. 分割協議をするとき、相続人が未成年者である場合、親権者が法定代理人として協議することになります。しかし、相続に関しては、親権者が共同相続人だったり、ふたり以上の兄弟姉妹が未成年で、同じ両親の親権に服している場合もよくあります。
その場合は、親と子または子と子の利益が相反する可能性があるので、親権者は代理人になれません。そのような場合には、親権者は家庭裁判所にその子の特別代理人*1選任の申し立てを行い、家庭裁判所の審判によって選任された特別代理人が分割協議に参加することになります。
*1 特別代理人……家庭裁判所から選任され、相続などの特定の手続を代理で行う人のこと。相続人のなかに未成年者や認知症などにより判断能力が不十分な人がいる場合、必要となる。特別代理人は、遺産分割協議への参加や遺産分割協議書への署名・押印などを代行する
Q4. 相続人がそろわないとき、遺産分割はどうすればよいですか。
A. 相続人がそろわない場合として、次の(1)、(2)、(3)の場合が考えられ、対応策はそれぞれあります。
(1)相続人の一部が遠隔地にいる場合
手紙、電話などで話し合い、遺産分割協議書の案を郵送して同意を求めるか、代理人を選任してもらって、協議に参加してもらうのがよいでしょう
(2)相続人の一部が行方不明または生死不明の場合
極力、行方を捜すことはもちろんですが、生死不明が七年以上のときは、家庭裁判所に申し立てて失踪宣告※1の審判をしてもらうことができます。審判があると、失踪した人は、生死不明になってから七年経過したときに死亡したものとみなされます。
ときたま便りがある(この場合は、生存は確実ですから、単に行方不明で生死不明ではありません)とか、生死不明状態が七年経過していないなど、失踪宣告ができない場合は、家庭裁判所に申し立てて不在者のための財産管理人※2を選任してもらい、その管理人が分割協議に参加します。ただし、管理人が分割協議に同意するには家庭裁判所の許可が必要です。
(3)行方不明者の相続人が後日現れた場合
ほかの相続人が、行方不明者が生きていることを知らずに遺産分割をしてしまった場合、行方不明だった者は、自分の取り分を遺産分配を受けた人たちに分配された遺産が残っている限度で、請求できます。
ただし、ほかの相続人が、行方不明者が生きていることを承知で分割したのなら、その分割は無効とされます。
